東京為替見通し=ドル円、米国2年・10年債の利回りの動向に振らされる展開か

 24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、3月米製造業・サービス部門PMI速報値が予想を上回ったことなどで、欧州市場の安値129.64円から130.90円台まで反発した。
 ユーロドルは銀行株中心に欧州株が下落したことで1.0713ドルまで下落後、1.07ドル台半ばでのもみ合いに終始した。ユーロ円は欧州市場の安値139.07円から140.85円付近まで反発した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米国2年・10年債利回りの動向に振らされる展開が予想される。3月期末決算を控えて本邦実需筋の取引は控えられる模様だが、レパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)に絡んだ円買いには警戒しておきたい。

 8時50分に発表される2月企業向けサービス価格指数は、前年比+1.7%と予想されており、1月の前年比+1.6%からの伸び率上昇が見込まれている。
 4月27-28日の日銀新体制による日銀金融政策決定会合までは時間があり、日本の物価情勢への警戒感が後退しているものの、日本の卸売段階での物価情勢を見極めることになる。先週末に発表された2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は、前年比+3.1%となり、1月の前年比+4.2%から伸び率が低下していた。政府による電気代・ガス代の価格抑制策(電気・ガス価格激変緩和対策事業)が2月分から反映されていることが伸び率鈍化要因となった。しかし、コアコアCPIは、1982年1月以来の伸び率となる前年比+3.5%を記録しており、予断を許さない物価情勢が続くことになる。

 パウエルFRB議長は、22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で「年内の利下げはない」と強調したが、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、7月からの利下げ確率が高いことが示されている。そして、年末のFF金利誘導目標は3.75-4.00%と示唆されている。
 タカ派の重鎮であるブラード米セントルイス連銀総裁は、「年末の政策金利の見通しを5.50-75%にした」と述べていたが、彼は今年の投票権を持たない。
 パウエルFRB議長は、米経済リセッション入りの可能性を見極めるヒントとして、「3カ月物の米財務省短期証券(TB)の実勢利回り」と「1年半後の予想利回り」とのスプレッドを挙げている。直近では過去最大の逆イールドとなっており、米国経済のリセッション入りの警鐘を鳴らしている。

(※27日6時時点)【フェドウオッチ】  【3月FOMCのドット・プロット】
・5月3日:4.75-5.00%(据え置き)    5.00-25%(+0.25%引き上げ)
・6月14日:4.75-5.00%(据え置き)   5.00-25%(据え置き)
・7月26日:4.50-75%(利下げ)     5.00-25%(据え置き)
・9月20日:4.25-50%(利下げ)     5.00-25%(据え置き)
・11月1日:4.00-25%(利下げ)     5.00-25%(据え置き)
・12月13日:3.75-4.00%(利下げ)    5.00-25%(据え置き)


(山下)
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