東京為替見通し=ドル円、軟調推移か 米国3月の物価伸び率鈍化を受け

 13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は133円前半から132.02円まで下落。3月米卸売物価指数(PPI)の下振れに反応した。もっともその後、132円後半まで下げ幅を縮める場面があった。ユーロドルは1.1068ドルまで上昇した。欧州中央銀行(ECB)当局者が利上げ継続を相次いで示唆したこと、米インフレ鈍化などに後押しされた。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、足もとの米インフレ減速を受けて軟調推移が予想される。12日発表の米3月消費者物価指数(CPI)総合と昨日発表の同月卸売物価指数(PPI)総合はどちらも市場予想を下回った。

 本日ドル円のNY市場終値が雲の下限132.57円以下になれば、一目均衡表のテクニカル分析では、「三役逆転」という強い売りシグナルが点灯する。ドル円の下値を限定しそうなのが米金利が下げ渋っていることか。米10年債利回りは3.40%台で推移している。

 米3月CPI総合は前年比+5.0%と昨年6月の前年比+8.9%をピークに鈍化傾向にある。同月PPI総合も前年比+2.7%と昨年6月の前年比+11.1%をピークに伸び率が縮小傾向だ。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCE総合価格指数も昨年6月の前年比+6.8%をピークに減速基調にある。

 4月28日発表の3月PCE総合価格指数がネガティブサプライズにならない限り、5月2-3日米連邦公開市場委員会(FOMC)では+0.25%の第10次追加利上げが行われる見込み。FF金利誘導目標5.00-25%はその後、年末まで据え置きが3月FOMCでのドット・プロット(金利予測分布図)で示唆されている。

 一方、CMEグループの「フェドウオッチ」でも、5月FOMCでの追加利上げを織り込んでいる。しかしながら12月FOMCに関しては4.25-50%へ引き下げられる確率が高くなっており、3月FOMCでのドット・プロット(5.00-25%)との乖離がドルの上値を重くしつつある。

 振り返ってみると、21年12月FOMCでのドット・プロットでは22年末のFF金利中央値は0.9%(0.75-1.00%)と予想されていた。しかしながら、「インフレ高進は一時的」だとする物価の見通しが間違っていたため、実際には4.25-50%まで上昇した。

 昨年12月のFOMCでのドット・プロットでは、「インフレ高進は持続的」との見通しから、2023年末のFF金利中央値は5.1%(5.00-25%)と予想され、3月FOMCでも同じだった。現時点での年末のFF金利予想は、ドット・プロットが5.00-25%、フェドウオッチは4.25-50%となっているが、FRBの見通しは確度が低いという実績があるため、市場はドル売りを進めつつあるのかもしれない。

(山下)
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