東京為替見通し=植田総裁のデビュー戦、日銀結果公表まではリスクオンを意識

 昨日の海外市場でドル円は底堅かった。米GDPが予想を下回ると133円前半まで下押すも、インフレ指標の上振れで米長期金利が上昇し134.20円まで反発した。ユーロドルもドル買い戻しに傾き、1.10ドルを割り込む場面があった。ユーロ円は方向感でなかったものの、147円後半で続伸して終えた。

 本日の東京為替市場では、ニューヨーク市場の流れを引き継ぎリスクオン地合いが予想されるなか、通常は昼頃に公表される日銀金融政策決定会合の結果を見極めることになる。また月末、ゴールデンウィーク前の実質ゴトー日(5・10日)ということもあり、本邦実需勢の動向にも振らされそうだ。

 米株市場は昨日、主要企業の四半期決算を好感し大幅に上昇して終え、アジア株への波及が期待される。昨日の1-3月期米GDPは減速予想のところを更に下振れたものの、こちらは過去の数値として捉えられた形だ。リスクセンチメントの改善を背景に、足もとではクロス円を中心に底堅い展開となるか。

 当然ながら、植田日銀総裁のデビュー戦となる日銀会合の結果は重要。植田総裁は再三、これまで黒田・前総裁のもとで進めてきた超金融緩和を継続すると述べきており、目先の政策はサプライズなしが基本的な見方でよいだろう。一方、昨日の1-3月期米コアPCEの上振れで今晩発表の3月PCEデフレーターに対する上向きリスクが意識され、足もとで米金利は上昇に転じた。そうなると、日米金利差を意識したフローでドル円の下値は限定的となるか。

 一部報道によれば、日銀会合では物価見通しの引き上げを議論しているもよう。先週末に発表された3月全国インフレ率が上昇基調を強めており、見通し修正は驚きではない。ただ、植田総裁は年末にかけて物価は低下するとの見解を示しているため、前回1月に1.6%とした2023年度消費者物価指数(CPI)見通しの上げ幅は小幅に留まる可能性はある。

 注目の1つは、日銀が政策金利と同時に発表する経済・物価情勢の展望。今回は25年度分が初めて示され、CPIについては1%台後半という見方が多い。また15時30分からの日銀総裁の定例記者会見では、植田・新総裁がどの程度まで独自色を出してくるのかも注目だ。イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の正常化、出口戦略についての質問が多くなると思われ、総裁が今後の政策変更の基本的な考え方をどのように示すか注視される。どの文言に投機筋が反応するか、まずは発言と相場の動きを見比べることになりそうだ。

(小針)
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