株式明日の戦略-利食い売りを吸収して4日続伸、連休明けは注目決算が目白押し

 2日の日経平均は4日続伸。終値は34円高の29157円。ファースト・リパブリック・バンクの経営破たんを受けても米主要3指数が小幅な下げにとどまったことや、為替が大きく円安に振れたことなどを手がかりに、3桁上昇スタート。29200円台に乗せて、昨年8月の高値を上回った。高く始まった後は買いが続かず、寄り付き天井となって失速。小幅高でしばらくもみ合った後、前場のうちに下げに転じた。ただ、マイナス圏では底堅く推移したことから、後場は持ち直してプラス圏に浮上。戻りが一服した13時以降は小高い水準でのもみ合いが続いた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆6600億円。業種別では精密機器、医薬品、電気機器などが上昇した一方、不動産、証券・商品先物、海運などが下落した。4月度の良好な月次が確認できたKeePer技研<6036.T>が急伸。半面、今期の減益見通しを提示した双日<2768.T>が大幅安。三井物産<8031.T>も後場に減益見通しを出して売られており、リリースのあった商社株の弱さが目立った。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり623/値下がり1115。米国で半導体株が強かったことから、アドバンテストやディスコが大幅高。このところ下値模索が続いていたレーザーテックも、売り先行から切り返して2%超上昇した。TDK、太陽誘電、ロームなど、ハイテク株の多くに強い動きが見られた。前期の計画上振れ着地が好感されたイビデンが、全市場の売買代金ランキングトップ10入りする大商いとなって9%高。証券会社の新規カバレッジが入ったテラプローブが急伸した。

 一方、前日に大きく跳ねたメルカリが3%を超える下落。為替は円安に振れたが、マツダや日産自など自動車株は、これを好感できずに下げるものが多かった。米国で金融機関が破たんしたことから、三菱UFJや野村HDなど金融株が軟調。不動産市場に対する警戒が高まり、野村不動産や東急不動産など不動産株が軒並み安となった。決算が失望材料となったリケンテクノスが大幅安。新株予約権の発行が嫌気されたトミタ電機が年初来安値を更新した。

 今週は日本株が休場に入った後に海外で注目イベントが多く、動きづらい週になるかと思われた。しかし、日経平均は月曜に29000円台に乗せ、きょうは2022年の高値を上回るなど、前の週からの上昇基調が継続した。日経平均は昨年の3月、6月、10月、そして今年の1月と、ざっくり3カ月周期で安値をつける周期があったが、1月に安値をつけた後は、4月は崩れることなく堅調に推移し、足元ではレンジの上限を突破したような動きを見せている。多くの材料をまとめて消化する来週がポイントとなるが、ここで大崩れがなければ、5月中旬以降も良好な地合いは継続する可能性が高い。


【来週の見通し】
 波乱含みか。東京市場が休場の間、海外ではFOMC、ECB理事会、米アップル決算、米4月雇用統計など、多くの材料を消化する。5月のFOMCで米国の利上げ打ち止めを織り込みに行く流れとなるかが大きな注目点ではあるが、FOMCの結果発表後に米雇用統計を消化するスケジュールでもあり、連休明けの日経平均がどの位置からスタートするのかが非常に読みづらい。月曜にこれらの材料を消化した後も、水曜10日には米4月消費者物価指数の発表があることから、この結果がグローバルマーケットを大きくかく乱する可能性もある。

 ただ、国内は引き続き決算発表ラッシュとなる。任天堂、トヨタ、ソフトバンクGなどの注目度の高い企業の発表も多く予定されており、週末の12日にもまだ発表企業数が多い。外部環境が多少不安定になったとしても、決算を吟味しながらの個別物色は活況が続く。米国株が弱かった場合でもある程度は耐性を示し、逆に米国株が強ければ、リスクオンの流れが加速するだろう。外部環境に神経質となりやすい週にはなるが、押し目があれば買いは入りやすく、下値は堅いと予想する。


【今週を振り返る】
 堅調となった。5月相場に突入したが、GWの谷間で立ち合いは2日間。週明け1日の日経平均は、米国株高や円安進行を追い風に大幅上昇。寄り付きから節目の29000円を上回ると、終日同水準より上で推移した。この日にTOPIXは年初来高値を更新した。2日は米国株安を受けても上昇スタート。29200円台に乗せ、昨年8月の高値を上回った。大型連休を前に利食い売りに押されてマイナス圏に沈む場面もあったが、押し目では買いが入ってプラスで終了。年初来高値更新基調が続いた。日経平均は週間では約301円の上昇となり、週足では4週連続で陽線を形成した。
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