NY為替見通し=遅行指標の雇用統計は予想比上振れへの追随買いに要注意

 本日のNY時間は、米雇用統計の結果と、米地銀の動向を見定めることになる。もっとも、市場の注目が徐々に年後半の米経済動向に移ってきていることもあり、遅行指標である4月の雇用統計の結果が、中長期的なトレンドを作るのは難しいだろう。

 今週はすでに3月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数、4月ADP全米雇用報告と複数の雇用指標が発表された。JOLTSは市場予想よりも弱い結果となったことで、今週のドル売りのきっかけの一つになった。一方で、ADPは市場予想を上振れる結果となったのにもかかわらず、ドル買いの反応が限られた。通常であれば、3月の指標よりも、直近の4月の指標結果への反応が敏感になるものだが、今回は4月の結果に対して市場は大きな動きを見せなかった。
 この要因は、年前半の経済指標が好結果だったとしても、3月に始まった金融危機が、年後半へ大きな悪影響を与える可能性が高く、ネガティブ・サプライズに市場は動意づきやすいからだろう。よって、雇用統計が市場予想よりも強い結果となった場合でも、その結果に追随して買いを仕掛けても、市場の注目が年後半の動向に移っていることで、ドルの高値掴みには注意しておきたい。

 なお、本日はブラード米セントルイス連銀総とクック米連邦準備理事会(FRB)理事が講演の予定となっている。クック理事はミシガン州立大学で、開会の辞を述べるにとどまる予定なので、金融政策などの細かな発言などを期待するのは難しいかもしれない。しかし、ブラード総裁は経済の見通しについてミネアポリスのエコノミッククラブで討議することで、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に同氏がどのような見通しを示すかが注目される。特に、一昨日ダラス連銀の前総裁カプラン氏が「米地銀危機は終わりから程遠い」とインタビューで述べ、欧州中央銀行(ECB)も金融危機により、金融機関の融資が厳格化していることを認めていることで、金融危機についての見解が注目される。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目途は、昨日の高値134.88円。その上は昨日FOMC後の高値135.70円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目途は、昨日の安値133.50円から日銀政策決定会合後に付けた28日安値133.38円を支持帯と見込む。

(松井)
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