ロンドン為替見通し=複数のECB高官の講演に要注目か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、主要な経済指標の発表もないことから、複数の欧州中央銀行(ECB)高官の講演を見極めて行く展開が予想される。

 ユーロドルは、ECBの利上げ継続路線を背景に1.1095ドルまで上昇してきたが、1.1000ドル台ではNYカットオプションが続伸を阻み、値動きを抑制してきている。本日も、1.0985ドル、1.1000ドル、1.1025ドル、1.1040ドル、1.1045ドル、1.1050ドルにオプションの行使価格が控えており、マグネット効果で値動きが抑制される可能性を念頭に置いておきたい。

 ユーロドルの下値は、本日予定されているバイデン米大統領と議会指導部との債務上限引き上げを巡る協議への警戒感から限定的、上値は、米10年債利回りが3.50%台に上昇していることで限定的だと思われる。

 先日のECB理事会では、予想通りに政策金利が0.25%引き上げられたが、何人かのタカ派メンバーが0.5%の利上げを主張したと報じられている。ECBは、タカ派メンバーへの譲歩として、資産購入プログラム(APP)で購入した債券の満期償還金再投資を7月に停止する方針を示した。

 本日は、0.5%の利上げを主張したと予想されるタカ派のレーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、レーン・フィンランド中銀総裁、バスレ・スロベニア中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁の講演に注目することになる。レーンECB専務理事は、昨日の講演では、ユーロ圏のインフレ率は年内に大きく低下するとの見通しを示しながらも、今のところは基礎的な財やサービスを含め、物価上昇にはまだ勢いがある、と述べていた。

 先日発表されたユーロ圏の銀行が1-3月(第1四半期)に予想以上に融資を抑制したこと、利上げ幅が0.25%に縮小されたことなどを受けた6月の理事会での利上げ幅、そしてターミナルレート(利上げの最終到達点)への言及に要注目となる。

 また本日はロシアの「戦勝記念日」となっているが、先日、ロシアの下院議長が、ウクライナ政権中枢に向けた戦術核の使用を促す極論を提案しており、関連ヘッドラインに警戒しておきたい。


想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1095ドル(4/26高値)
・ユーロ円:149.27円(日足一目均衡表・転換線)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0909ドル(4/17安値)
・ユーロ円:147.08円(日足一目均衡表・基準線)


(山下)
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