ロンドン為替見通し=3月独Ifo企業景況感指数と複数のECB高官の講演に要注目か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、3月独Ifo企業景況感指数を見極めた後、複数のECB高官の講演に注目する展開が予想される。

 3月独Ifo企業景況感指数は91.0と予想されており、2月の91.1からはわずかながらも低下が見込まれている。先行指標である3月独ZEW景況感指数は13と発表され、2月の28.1から大幅に低下していたことで、ネガティブサプライズに警戒しておきたい。
  16日の欧州中央銀行(ECB)理事会では、金融政策の先行きの判断基準のひとつとして、「経済および金融データに基づくインフレ見通しの評価」を挙げており、独Ifo企業景況感指数が悪化した場合、利上げ休止の可能性を高めることになる。

 ECB理事会では、0.50%の利上げが決定され、声明文からは、今後の金利の軌道を示唆する文言「フォワードガイダンス」が取り除かれ、ラガルドECB総裁は「将来の金利の軌道を現時点で決定することは不可能」と述べている。
 14日にデギンドスECB副総裁が欧州連合(EU)財務担当相に対して、「域内の一部の銀行は金利上昇に対して脆弱な恐れがある」と報告しており、先週末はドイツ銀行の株価が一時15%下落し、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、取引が開始された2019年以降で最高の水準に上昇した。

 本日は、シムカス・リトアニア中銀総裁、ナーゲル独連銀総裁、エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、センテノ・ポルトガル中銀総裁、シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事の講演が予定されており、欧州の株式や債券市場の下落という金融市場の動揺とインフレ抑制に向けた利上げに関する見解に注目することになる。
 ナーゲル独連銀総裁は、24日の講演で、2008年の金融危機以降に規制や金融安定が進展したと称賛し、混乱が深まる場合には対応する用意が当局者にはあると言明している。そして、インフレが予想通り展開するなら、利上げサイクルを終了すべきではない、と述べ、拙速に利下げに転じるべきではないと主張している。


想定レンジ上限
・ユーロドル:1.0839ドル(3/24高値)
・ユーロ円:141.90円(日足一目均衡表・転換線)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0723ドル(日足一目均衡表・転換線&基準線)
・ユーロ円:138.83円(3/20安値)

(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。