NY為替見通し=米新規失業保険申請件数や格付け関連のヘッドラインに要注目か

 本日のNY為替市場のドル円は、前週分の米新規失業保険申請件数を見極めつつ、格付け機関による米国債の格付け関連のヘッドラインに警戒する展開が予想される。

 前週分の米新規失業保険申請件数の予想は23.5万件で前回の23.2万件からの増加が見込まれ、失業保険継続受給者数の予想は180.0万人で前回の179.5万人からの増加が見込まれている。
 5月の雇用統計では、事業所調査での非農業部門雇用者数は前月比33.9万人増加していたが、家計調査の失業率は3.7%へ上昇し、失業者数は44万人増加するという、まちまちな結果となっていた。米国の労働市場の趨勢を見極める意味で、失業保険が示唆する労働状況を確認しておきたい。

 米国の債務上限は、5日の「Xデー」を前に、3日にバイデン米大統領が財政責任法案に署名したことで、2024年11月の米国大統領選挙後の2025年1月まで適用停止となった。

 債務上限引き上げ協議が難航していたことで、6月1日時点で米財務省が保有する現金残高は228.9億ドルとなり、連邦政府債務の支払い義務を履行する上での必要最低限の現金残高300億ドルを下回っていた。そのため、今後は米財務省短期証券(Tビル)の大量発行による資金調達を余儀なくされる模様で、米債利回りの上昇見通しはドル買い要因となる。一方で、流動性が吸収される可能性はドル売り要因となるため、Tビルの大量発行による債券市場の動向には注目しておきたい。財務省は6月末までに約3500億ドルのTビルを発行すると発表している。

 さらに、格付け会社による米国債の格付けの判断にも引き続き警戒しておきたい。2011年8月2日にオバマ第44代米大統領が債務上限引き上げ法案に署名した3日後の5日に、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国債格下げを決定していた。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、5月30日の高値の140.93円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、6月7日の安値の139.03円。




(山下)
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