東京為替見通し=米金利に連れず円高継続か、さくらレポート・中国指標に要注目

 海外市場でドル円は、6月米雇用統計の結果が強弱入り混じる内容だったことが分かると、当初は売りと買いが交錯したものの、そのあとは次第にドル売りが優勢となり142.07円と6月22日以来の安値を更新した。ユーロドルは米雇用統計発表後に米金利が低下すると、一時1.0973ドルと日通し高値を更新した。

 本日の東京市場も円高基調は変わらずか。先週は、米10年債利回りが昨年11月以来の水準、同2年債利回りは2007年6月以来となる16年1カ月ぶりの高水準を記録した。しかしながら、通常は米金利上昇に連れて買われるドル円の反応は非常に鈍く、結果的には株安を嫌気しドル円は軟調な動きになった。4・5月の円売り・株買いなどを仕掛けたのは本邦勢、6月は海外勢だったこともあり、回転の速い海外勢は7月に入り相場展開に変化が出てきたことで、今後は円安局面では円買いの逃げに転じる可能性もありそうだ。

 株安を嫌気した円安が重しになっているが、それ以外にも7月27-28日に行われる日銀政策決定会合を前に、日銀の動向への警戒モードがワンランク上がっていることも円の買い戻しの一因になっている。先週7日の日経新聞朝刊に掲載された内田日銀副総裁のインタビューでは、金融緩和継続を強調したものの、イールドカーブコントロール(YCC)の将来の見直しの可能性を否定しなかった。昨年12月の長期金利の許容上限を0.5%に引き上げ時のように、日銀が報道を利用し、YCCの上限引き上げの地ならしを行う可能性が出てきていることも円買い要因だ。

 本日は本邦からは5月国際収支速報、6月景気ウオッチャー調査などの経済指標が発表される。これらの指標で円相場が動意づくのは難しいだろうが、14時頃に公表される日銀の地域経済報告(さくらレポート)には目を向けておきたい。4月の同レポートでは、7地域が景気判断を据え置き、1地域は引き上げ、1地域は引き下げた。もし、引き上げ地域が増加していた場合は、日銀政策決定会合へ影響を与える可能性もありそうだ。

 また、中国からは6月の消費者物価指数(CPI)と同月の生産者物価指数(PPI)が発表される。CPIがわずかにプラス予想となっているが、PPIは5月の-4.6%から更に弱まり-5.0%予想となっている。市場は株安への警戒感が高まっていることもあり、両指標が予想比で下振れた場合は元相場だけでなく、リスク回避の動きになり円高が更に進みそうだ。

(松井)
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