NY為替見通し=本邦金利上昇も日米金利差拡大傾向は変わらず円安継続か

 本日のドル円も、堅調地合いを維持するか。東京時間では20年債の入札がテール96銭と1987年12月以来の大きさになり、低調な入札結果となった。この影響で本邦長期債利回りが上昇したことが支えになり。ドル円の頭を抑えた。市場参加者の中では9月の日銀政策決定会合では「さらに踏み込んだ金融正常化の道を探るのではないか」との声も出てきている。
 しかしながら、他国の債券利回りの上昇ペースは、本邦のペースよりも明らかに早く、上げ幅も大きい。本日も英10年債利回りは2008年以来の水準まで上昇、米債利回りも昨年10月以来の水準まで上がった。本邦の金利上昇の勢いは遅いだけでなく緩やかだ。日米及び、日本と他国との金利差拡大傾向が留まっていないことで、ドル円も買い意欲は強いままか。

 本日の米経済指標では、日本時間21時半に8月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数と、前週分の米新規失業保険申請件数及び失業保険継続受給者数が発表される。先月もフィリーと左記雇用指標は同時に発表されたが、フィリーは市場予想よりも弱い結果だったのにもかかわらず、市場は雇用指標の好結果に反応し、ドル買いが進んだ。ここ最近の市場動向は、米金利上昇(ドル買い)への反応が敏感なこともあり、本日も両指標がともに弱い結果にならない限りはドルが買われやすくなりそうだ。
 また、23時には7月米景気先行指標総合指数が発表されるが、前月も上述の21時半に発表された指標と同日に発表された。前月は予想比を下回ったものの下押しが限られた。

 依然として日銀の為替介入への警戒感はあるものの、日銀の介入がある一定期間行われなかった場合は、日本のビジネスタイムに行われることが多いことで、NY時間にかけての介入は期待するのは難しそうだ。しかしながら、流動性を失った時間帯にかけて、相場が急に走り出すフェイク介入などで急に円高に振れるリスクには備えておきたい


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目途は、近い水準では昨年11月10日高値146.59円。その上は昨年7日高値147.57円

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目途は、昨日NY参入後の安値145.66円、その下は16日安値145.31円。

(松井)
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