株式明日の戦略-3勝2敗で週間では下落、来週は米国の物価指標やアップルに注目

 8日の日経平均は大幅続落。終値は384円安の32606円。米国でアップルや半導体株が弱かったことを嫌気して下落スタート。すぐに下げ幅を3桁に広げると9時半近辺では400円を超える下落となり、32500円台に突入した。いったん32700円台まで戻したものの、押し目買いが続かず10時以降は下げ基調に入った。後場に入ると再び32500円台に突入し、前場の安値も下回った。ただ、32500円は割り込むことなく推移し、終盤にかけは若干持ち直した。マザーズ指数も下落。ただ、足元でさえない動きが続いており、改めての売り余地が限られたことから、下落率は-0.6%と日経平均(-1.2%)に比べると相対的に値を保った。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆0500億円。メジャーSQ日で商いは膨らんだ。業種別では証券・商品先物、電気・ガス、石油・石炭の3業種のみが上昇。一方、鉱業、非鉄金属、精密機器などが大きめの下落となった。8月度の月次好調が確認できたカクヤスグループ<7686.T>が急騰。反面、サイバーエージェント<4751.T>が大幅安。前日に配信を開始したスマホゲームのセールスランキングが失望材料になったとの見方があり、年初来安値を更新した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり277/値下がり1508。半導体株が総じて弱かったが、アドバンテストは上昇。主力どころではソフトバンクG、ホンダ、神戸鋼などが堅調となった。全体としては米アップル株安が警戒材料となった格好だが、きのう大きく下げていた村田製作所は、売り先行から切り返してプラス転換。株安の中でも東洋証券、岡三証券G、丸三証券など証券株に強い動きが見られた。1Qが大幅増益となったビューティガレージが年初来高値を更新した。

 半面、東京エレクトロンが大幅安。ファーストリテイリング、ダイキン、キーエンスなど値がさ株に弱い動きのものが多かった。今週ネガティブな材料が出てきたネクステージやオリンパスが大幅安。三菱UFJ、三菱商事、INPEXなど足元の動きが良かった大型バリュー株も利益確定売りに押された。上期が大幅な減益となったアールプランナーが大幅安。風力発電事業に絡んで衆院議員が受託収賄容疑で逮捕されたことから、風力発電の普及拡大期待が後退。この分野に強みを持つレノバが象徴的に売り込まれた。

 日経平均は2日連続の大幅安となり、週間でも下落した。週の高値は7日の33322円で、結局8月1日の直近高値33488円は上回ることができなかった。6月19日の33772円を頂点として、戻り高値が前の高値を超えられない傾向が続いている。TOPIXが9月に入って年初来高値を更新したことは日本株上昇に対する期待を高めるが、日経平均の方は7月、8月と月初に買われた後は尻すぼみとなっており、ここは踏ん張りどころだ。前半3日間が強かったことで、週を通して13週線(32506円、8日時点、以下同じ)、75日線(32464円)、25日線(32274円)などテクニカルの節目よりは上で推移した。25日線を割り込んでしまうと一気にチャート形状が悪化することから、現状の32500円近辺で調整一巡感が出てくるかが来週のポイントとなる。


【来週の見通し】
 波乱含みか。米国では13日に8月消費者物価指数(CPI)、14日に8月生産者物価指数(PPI)が発表される。FOMCを翌週(9/19~20)に控えており、直前で出てくる物価指標は大きな注目を集める。また、今週後半はアップル株安が日米の株式市場を揺さぶったが、来週は12日にアップル新製品の発表会が予定されている。発表会でアップルに見直し買いが入り、米国の物価指標が弱めで米長期金利が低下すれば、グロース株が強く買われてリスクオンに傾く展開が期待できる。一方、物価指標が強く9月FOMCでの利上げが意識されるようなら、リスクオフの展開も想定される。14日のECB理事会も相場をかく乱する要素となり得る。米PPIやECB理事会の結果を消化するのは金曜15日となるため、週を通して不安定な動きが続くだろう。


【今週を振り返る】
 前半堅調、後半軟調で週間では下落した。米8月雇用統計を受けた1日の米国株が落ち着いた動きとなったことを好感して、週明け4日の日経平均は200円を超える上昇。5日に材料難の中でも節目の33000円を上回ると、6日まで8日続伸と強い動きが続いた。この間は大型バリュー株が上昇をけん引した。しかし、米国でインフレ長期化懸念が再燃してきたことを受けて7日に下落すると、8日は米アップル株安などを嫌気して300円を超える下落。前半3日間の上昇分を後半2日で吐き出した。日経平均は週間では3週ぶりに反落し、約103円の下落。週足では陰線を形成した。
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