ニューヨーク外国為替市場概況・14日 ユーロドル、続落

 14日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続落。終値は1.0643ドルと前営業日NY終値(1.0730ドル)と比べて0.0087ドル程度のユーロ安水準だった。欧州中央銀行(ECB)はこの日の定例理事会で政策金利を現行の4.25%から4.50%に引き上げることを決めたと発表。市場では金利据え置きを予想する向きも多かっただけに、発表直後はユーロ買いで反応した。21時30分前には一時1.0747ドル付近まで値を上げた。
 ただ、声明では「現在の評価を踏まえ、理事会は政策金利が十分に長期間維持されれば、インフレ率が目標に適時に戻るのに十分に資する水準に達したと考えている」と指摘したほか、2023-25年の成長率見通しを引き下げ、景気の先行きに弱気な見方を示した。市場では「現在の利上げサイクルが終了した」との見方が広がり、ユーロ売りを促した。ラガルドECB総裁が理事会後の会見で「景気は今後数カ月、低迷が続くだろう」「経済成長に対するリスクは下方に傾いている」と述べたことも相場の重しとなり、3時前には1.0632ドルと3月20日以来約半年ぶりの安値を付けた。
 なお、ECBは今後の金融引き締めについては「データ次第」とし、ラガルド総裁は「ECBの金利がピークに達したかについては言えない」とも語った。

 ドル円はほぼ横ばい。終値は147.47円と前営業日NY終値(147.46円)と比べて1銭程度のドル高水準だった。8月米小売売上高や8月米卸売物価指数(PPI)、前週分の米新規失業保険申請件数など、この日発表の米経済指標が軒並み予想より強い内容となったことで円売り・ドル買いが先行。21時30分過ぎに一時147.56円と日通し高値を付けた。
 ただ、前日の高値147.73円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。ユーロ円やポンド円などクロス円の下落につれた売りも出て、24時過ぎには147.02円とアジア時間に付けた日通し安値に面合わせした。
 もっとも、米10年債利回りが4.29%台まで上昇すると買い戻しが優勢となり、147.49円付近まで持ち直した。ダウ平均が一時400ドル超上昇するなど、米国株相場が堅調に推移したことも相場を下支えした。

 ユーロ円は3営業日ぶりに反落。終値は156.97円と前営業日NY終値(158.22円)と比べて1円25銭程度のユーロ安水準。ECBが0.25%の利上げに踏み切ると一時158.39円と日通し高値を付けたものの、すぐに失速した。声明で政策金利がインフレ抑制に寄与する水準に到達したことが示唆されると、「ECBの利上げは今日が最後になった」との見方が広がりユーロ売りが進んだ。1時30分前には一時156.64円と日通し安値を更新した。
 ポンド円は一時182.52円と8月9日以来の安値を付けた。ECBの利上げ打ち止め観測が強まると、英中銀(BOE)による追加利上げ観測も後退しポンド売りを促した。ポンドドルも一時1.2397ドルと6月7日以来約3カ月ぶりの安値を更新した。

本日の参考レンジ
ドル円:147.02円 - 147.56円
ユーロドル:1.0632ドル - 1.0752ドル
ユーロ円:156.64円 - 158.39円

(中村)
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