東京為替見通し=本邦GDPの上方修正で金融政策正常化観測が高まる可能性

 8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、2月米非農業部門雇用者数が前月比27.5万人増だったことで147.45円付近まで強含み、失業率が3.9%、平均時給が前月比+0.1%上昇/前年比+4.3%だったことで146.49円まで反落した。ユーロドルは米2月雇用統計を受けて1.0921ドルまで弱含んだ後、1.0981ドルまで反発したものの、6月ECB理事会での利下げ観測から1.0934ドル付近まで押し戻された。ユーロ円は日本時間夕刻に一時160.62円まで下落後、161.00円付近まで反発した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、日本の10-12月期実質国内総生産(GDP)改定値が予想通りに上方修正されてテクニカル・リセッションではなかったことが判明した場合、3月日銀金融政策決定会合でのマイナス金利解除の可能性が高まることで円高リスクに警戒する展開が予想される。

 8時50分に発表される日本の10-12月期実質GDP改定値は前期比+0.3%/前期比年率+1.1%と予想されており、速報値の前期比-0.1%からの上方修正が見込まれている。個人消費、住宅投資、政府消費の伸びに大きな修正はないものの、法人企業統計で設備投資が上方修正されたことが主な要因とのことである。
 予想通りだった場合、日本経済は2四半期連続のマイナス成長によるテクニカル・リセッションには陥っていなかったことになり、今月18-19日の日銀金融政策決定会合でのマイナス金利解除の可能性を高めることになる。

 先週末には、「日銀は18-19日の金融政策決定会合でマイナス金利解除に傾く政策委員が増えている。日銀が国債買い入れ規模示す新たな量的金融政策枠組みを検討」と報じられた。今週は13日に春闘の集中回答があり、15日に春闘の第1次集計結果が発表され、来週18-19日の日銀金融政策決定会合を迎えることになる。

 先週末に発表された米2月雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+27.5万人だったものの、1月と12月分が16.7万人下方修正されていた。また、失業率は2022年1月以来の高い水準の3.9%へ上昇し、就労者数は18.4万人減となり、1月の6.3万人減、12月の68.3万人減に続き3カ月連続で減少していた。
 フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、3月19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利据え置きはほぼ確実視されているものの、6月半ばまでに利下げが開始される確率は80%まで上昇している。

 パウエルFRB議長は、先週の米上院銀行委員会で「FRBが利下げに着手するために必要なインフレ低下に対する『確信』はそう遠くない(not far)将来に得られる」とややハト派的な見解を述べていた。19-20日のFOMCの前に明日発表される米2月消費者物価指数(CPI)を判断材料にして、利下げ開始時期が協議されることになる。

(山下)
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