ロンドン為替見通し=新興国発のリスク続くか見定め、前半はインド株に注視

 本日のロンドン為替市場では、前半は改定値ではあるが欧州の5月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)を確認し、インド株の動向を受けた相場のリスクセンチメントを見極めながらの取引となるか。その後は5月米雇用統計の前哨戦となる同月ADP全米雇用報告待ちとなりそうだ。

 5月サービス部門PMI改定値は、速報値が弱かったフランスの結果がまず発表される。速報値では51超え予想から49.4まで落ち込んだ。景況感判断の境目50を割り込んだままだと、ユーロを売り込むほどではないものの、上値が追いづらい雰囲気が出るかもしれない。

 昨日はインドの株式市場が急落した。同国総選挙でモディ首相率いる与党の結果が、予想に反してさえなかったことが嫌気されたもよう。インドは経済規模は既に世界第5位、2025年に日本を上回り、27年にはドイツも抜いて世界第3位の経済大国になると見られている。その国の株式市場の影響を欧州市場も少なからず受けたようだ。現物のインド株は日本時間19時まで取引されており、前日の流れが続くのかが注視される。

 なお、昨日はトルコ株も軟調に推移した。一部メディアが、トルコ政府が株式投資の利益に対して課税を検討していると報道。もともと地合いが弱かったところに、更に売り圧力が強まった。イスタンブール株式市場の主要指数は1.8%安で終えている。このところ好調だった新興国の失速が目立ち始めてきたが、一過性のものなのか見定めることになりそうだ。

 ほかバイデン米大統領は今週、ゼレンスキ―・ウクライナ大統領とフランスで会談するもよう。「米国製兵器でウクライナ軍が一部ロシア領を攻撃」が現実味を帯びてきており、こちらも地政学リスクを意識させる要因となる。

想定レンジ上限
・ユーロ円、ピボット・レジスタンス1の170.12円
・トルコリラ円、日足一目均衡表・転換線4.81円

想定レンジ下限
・ユーロ円、昨日安値168.09円
・トルコリラ円、3月29日安値4.65円を下値めどと想定します。



(小針)
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