東京為替見通し=ドル円、底堅い展開だが米8月雇用統計への警戒感から上値は限定的か

 2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、レーバーデーで休場の中、ナイト・セッションの日経平均先物の上昇などを手掛かりに円売り・ドル買いが優勢となり、147.17円まで上昇した。ユーロドルは欧州時間に仏・独・ユーロ圏の8月製造業PMI改定値が予想を上回ったことを受けて1.1077ドルまで上昇した後、高値圏で推移した。ユーロ円は、ドル円や日経平均先物の上昇に伴う円売り・ユーロ買いで162.89円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、海外市場での堅調地合いを受けて底堅い展開が予想されるものの、今週末6日に米8月雇用統計の発表を控えていることで、上値は限定的だと思われる。

 ドル円は、4手連続陽線で147円台まで買い戻されており、過去9日間の中心値である日足一目均衡表・転換線(145.31円)と過去26日間の中心値である日足一目均衡表・基準線(148.46円)の間で堅調に推移している。
 上値の重要なテクニカルポイントは、基準線の148.46円や161.95円から141.70円までの下落幅のフィボナッチ・リトレースメント38.2%戻しである149.44円(※8/15高値149.39円)となっている

 本日は、米8月雇用統計への警戒感から上値は限定的だと予想される。
 米8月の雇用統計の予想は、失業率が4.2%で7月の4.3%から低下、非農業部門雇用者数は前月比+16.5万人で7月の同比+11.4万人からの増加が見込まれている。
 8月21日に発表された年次ベンチマーク改定の速報値では、2023年4月から2024年3月までの1年間の雇用者増は81万8000人下方修正されることが示された。改定前の雇用者数は1年間に290万人増(月平均で24万2000人増)だったが、今回の改定を受けて、1カ月当たり約17万4000人増のペースとなった。
 2024年4月から7月までの月平均は前月比+15.4万人となり、3月までの平均である+17.4万人や8月の予想の+16.5万人と整合的となっている。

 8月の非農業部門雇用者数が予想を上回る数字であっても、WSJ紙がNFPは過大評価の可能性と指摘していることや今回の下方修正(▲81.8万人)を受けて、ドル買いの反応は限定的だと思われ、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅が0.50%ではなく0.25%になる可能性を高めるだけだと思われる。

 米国の雇用統計では、家計調査に基づく失業率よりも、事業所調査に基づく非農業部門雇用者数が重視される傾向にあったが、今後は、4%台で推移している失業率が労働市場の実態を反映する数字として重視されるのかもしれないことで、8月失業率が上昇していた場合は、9月FOMCでの利下げ幅は0.50%になる可能性が高まることになる。

 NFPは、「起業・廃業モデル」が過大評価している可能性が指摘されていること、賃金をベースにカウントしていることで複数の職を持つ者が数字を押し上げている可能性があることが指摘されている。



(山下)
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