東京為替見通し=ドル円は底堅い展開が予想される中、フラッシュクラッシュには要警戒

 31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.58%台まで上昇したことで、欧州市場序盤の安値156.02円から157.55円まで上昇した。ユーロドルは米長期金利の上昇やロンドン・フィキシングに絡んだユーロ売り・ドル買いなどで1.0344ドルまで下落した。

 本日のアジア外国為替市場のドル円は、日米金融政策への思惑から底堅い展開が予想されるものの、2019年のお正月のフラッシュクラッシュの再現には警戒しておきたい。

 警戒すべき材料としては、1月1日に適用停止が期限切れとなった米国の債務上限に関する悲観的な報道、トランプ次期米大統領による新年の突発的な発言(ドル高円安牽制?)、日銀の追加利上げに関する報道などが挙げられる。

 2019年1月3日のお正月、ドル円は108.88円付近で始まった後、高値108.92円から安値104.87円まで4.05円急落した。流動性が低下していた環境下で、ストップロスへの強引な売り仕掛けが背景にあった模様だが、2020年から昨年のお正月には観測されなかったことで、異例の事態だった。
         【高値】   【安値】
・2020年1月2-3日:108.87円    107.84円
・2021年1月4日: 103.32円    102.71円
・2022年1月3日: 115.37円    114.95円
・2023年1月2-3日:131.40円    129.52円
・2024年1月2-3日:143.73円    140.82円

 また、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に関しては、流動性が枯渇しているため円安抑制効果は大きいと思われるが、昨年12月の本邦通貨当局の牽制発言が「注視」「適切対応」「憂慮」という段階に留まっていたことで、可能性は低いと思われる。
 神田前財務官は、ボラティリティー抑制を介入の目安にしていたが、ボラティリティーの上昇を測るボリンジャー・バンド+2σは、現時点では159円台後半にある。

 昨年は植田日銀総裁が追加利上げの条件として、第2次トランプ米政権の経済政策や春闘での賃上げの状況などでの「ワンノッチ(1段階)」という新たな用語を挙げたことで、追加利上げ観測の後退により、ドル円は158円台まで上昇した。

 しかし、12月の日銀金融政策決定会合での主な意見では、植田日銀総裁の見解に同調している委員は、内田日銀副総裁らしき執行部の人物が確認されるだけだったことで、1月23-24日の日銀金融政策決定会合での利上げ確率は昨年末の段階では40%台まで上昇している。

 今月は、1月14日に氷見野日銀副総裁が神奈川県金融経済懇談会で講演や記者会見を予定しており、日銀の政策運営に関する考え方を市場に伝えるのではないかとの憶測が台頭している。

 10時45分に発表される12月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.7と予想されている。昨年末に発表された12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1で、好不況の分かれ目である50を3カ月連続で上回っており、予想通りならば、リスク選好要因となる。



(山下)
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