東京為替見通し=取引最終日、ドル円の買いトレンド継続も株安が上値の重しに

 昨日のドル円は、米株式市場でダウ平均が一時720ドル超下落したほか、ナイト・セッションの日経平均先物が大証終値比710円安の3万9280円まで下げるとリスク・オフになり156.67円まで円買い・ドル売りが先行した。年末を控えたロンドンフィキシングに絡んだドル買いのフローが観測されると157.35円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。ユーロドルは1.0458ドルと日通し高値を付けたものの、その後は一転下落した。欧米株価の下落を受けてリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが出ると一時1.0372ドルまで値を下げた。

 本日のアジア時間でドル円は、トレンドを作る動きにはなりにくいだろうが、東京市場が休場となることで市場流動性が枯渇することが予想され、大きな振幅を見せることには警戒したい。また、欧州でもドイツやスイス市場が休場、英国市場も短縮取引になることもあり、欧州時間も市場参加者が少ないことに留意したい。
 
 昨年の年末(12月29日)のアジア時間でのドル円は、東京仲値の値決めにかけては円売り意欲が高まったものの、その後は方向感が欠ける動きになった。しかしながら、欧米時間では市場流動性の悪い中で東京市場の高値を超えて上昇したものの、米経済指標が予想より下振れたことや、年末のロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだ円買い・ドル売りのフローが観測されると下げ足を速めた。ただ、本日は東京市場が休場なことで、東京仲値の値決めで動くことはない。また、昨日すでに欧米時間ではフィキシングなどで大きく相場が動いたことで、例年取引最終日に入る売買がすでに前倒しされた可能性もある。

 年末を控えドル円は売り買いの両方の材料があることも、値動きを限定的にしそうだ。市場では依然として今月に行われた日米中銀の金融政策決定会合後からのドル買い・円売り意欲が継続しやすく、下落局面での買い意欲は引かないだろう。植田日銀総裁が市場予想よりもハト派の見解を示した一方で、米連邦公開市場委員(FOMC)ドットプロットでは米連邦準備理事会(FRB)の利下げ予想の後退が示されたことがドル円を支える主な要因。ただ植田日銀総裁が述べていた「来年の春闘に向けたモメンタムなど、今後の賃金動向について判断することもできるような経済界の流れ」が確認できた場合には、恒例となっている植田総裁の前言撤回が再びあるかもしれないので、注意が必要になりそうだ。現時点では来年1月14日に氷見野日銀副総裁の横浜市で行われる金融経済懇談会の講演までは、日銀要人の講演等の予定は発表されていないが、新聞各紙とのインタビューなどが急遽掲載される可能性もあることで警戒は怠らないようにしておきたい。
 一方で、米株安を嫌気し日経平均先物が弱含んだことで、リスク回避的な動きがドル円の重しになる。昨日の大納会では4万円台を維持することができず、地合いの弱さを改めて示して年を引けている。2・3日は本邦市場が休場になるが、同日の間に更に米株が軟調な動きを示せば、ドル円の上値を抑える要因になるだろう。


(松井)
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