ロンドン為替見通し=欧州通貨、対ドルでの調整幅を見定め 当局者発言にも注目

 本日のロンドン為替市場で欧州通貨は、対ドルでの調整幅を見定める展開となりそうだ。欧州発の重要指標の発表はないものの、複数の金融当局者講演にも目を向けておきたい。

 昨日のユーロドルは先週の地合いの弱さを素直に引き継ぎ、欧州前半には2022年11月以来の安値圏となる1.0170ドル台まで売り込まれた。ポンドドルも1.2100ドルと2023年11月1日安値に迫った。もっとも、先週から下げが続いていたこともあり、ニューヨーク時間にはショートカバーが優勢となっている。

 ただしユーロドルやポンドドルの反発は、あくまでも調整の域をでないのではないか。米金利先安観が急速に後退していることが要因の1つ。本日の12月米卸売物価指数(PPI)や明日の消費者物価指数(CPI)でインフレ加速が確認されるとの見方が高まりつつあり、ドルは売りづらくなるのではないか。

 一方ユーロ圏では、足もとでインフレは下げ渋っているものの欧州中央銀行(ECB)の利下げペースに大きな変化はないとの見方が今のところ優勢。ECBチーフエコノミストでもあるレーン専務理事が昨日、「ディスインフレは明白」と述べ、「利下げを継続することは理にかなっている」との考えを示した。同理事は本日も講演が予定されている。

 ポンドについては、英債券への売り圧力が依然として重しとなるか。英10年債利回りは昨日、上昇幅を縮めたとはいえ、引け水準は4.88%台と終値としては2008年以来の高い水準だ。明日発表される12月英インフレ指標を控え、債券相場が不安定な動きとなれば、ポンドの上値は追いづらいだろう。

 なお先週末のニュースになるが、リーブス英財務相が訪中し、英中貿易や投資の拡大などに合意したことが報じられている。保護主義色を強めるトランプ米次期政権への対応とも言えるが、政権誕生後にトランプ氏が難癖をつけてくる可能性は十分あるだろう。

他、欧州当局者の講演は、ホルツマン・オーストリア中銀総裁とブリーデン英中銀(BOE)副総裁が欧州前半に予定されている。


想定レンジ上限
・ユーロドル、9日高値1.0321ドル
・ポンドドル、10日高値1.2322ドル

想定レンジ下限
・ユーロドル、2022年11月11日安値1.0163ドル
・ポンドドル、昨日安値1.2100ドル


(小針)
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