週間為替展望(ドル/ユーロ)-米大統領発言に引き続き警戒

◆ドル円、米大統領発言に振らされる展開
◆FOMCは据え置き予想、注目はFRB議長の記者会見
◆ユーロドル、4会合連続での利下げ予想

予想レンジ
ドル円   154.00-159.00円
ユーロドル 1.0150-1.0600ドル

1月27日週の展望
 ドル円は、トランプ米大統領の発言に振らされる展開が続きそうだ。20日から第2次トランプ米政権が始まり、カナダとメキシコへの25%関税発動を示唆したことでドル高が進んだ一方で、スイスで開催中の世界経済フォーラムでは「すぐに金利を下げるよう要請するつもり」と述べ、ドル売りが強まった。市場は米大統領の発言に対して敏感になっており、来週も一喜一憂することになるだろう。また、24日の植田日銀総裁の会見を受けて今後の金融政策の方向性が明らかになれば、来週もその流れが継続しそうだ。

 28-29日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きが見込まれている。トランプ米政権誕生後、初の会合であり、関税強化など新たな政策を受けてインフレ上振れへの懸念が高まるなか、今回は慎重な判断が下されるだろう。特に政策の中で警戒されているのが不法移民の強制送還。約1100万人に上る不法移民を大量に送還することで建設業の停滞や食品価格の上昇などを招く恐れがあり、経済的な打撃も考慮すると先行き不透明感は一段と高まっている。8日に公表されたFOMC議事要旨でも「強制送還などの政策に伴い、インフレ見通しが上振れする可能性が高まったと分析」と明記されていることからも米当局は注視していることは明らか。パウエル米連邦準備理事会(FRB)が記者会見でどのような見解を示すかが注目される。

 来週はFOMC以外にも28日に12月耐久財受注や1月消費者信頼感指数、30日に10-12月期国内総生産(GDP)速報値、31日に1月PCEコアデフレータの発表が予定されている。

 ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の政策金利発表を睨んで神経質な展開が想定される。30日の理事会では4会合連続での利下げが予想されているが、注目されるのはラガルドECB総裁の会見。トランプ米政権の関税政策が欧州経済に与える影響は不確実であり、インフレ・経済見通しと金融緩和のペースを見極める非常に難しい金融政策を強いられることになるだろう。なお、市場では年内4回の利下げが見込まれているが、ECBの中でタカ派とされるクノットオランダ中銀総裁も、目先1月と3月の利下げには前向きな姿勢を示している。

1月20日週の回顧
 ドル円は一進一退。米大統領就任式での関税発動発表が見送られたことで売りが強まり、21日には一時154.78円まで下落する場面があったが、155円割れでは押し目買い意欲が強く反発。その後は欧米株高でリスクオンの円売りが進んだことで156.75円まで切り返した。一方、トランプ米大統領の利下げ要請発言で155円台後半まで一時反落した。

 ユーロドルは底堅い。週明けから買いが先行すると、その後も株高を支えに強い地合いを続け一時1.0457ドルと昨年12月30日以来の高値を付けた。(了)
(執筆:1月24日、9:00)

(越後)
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