東京為替見通し=ドル円、相互関税が即時発動されなかったことで上値が重い展開か

 13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ米政権の「相互関税」が即時発動とはならず、調査次第では関税が回避されるとの期待感から、一時152.70円まで下落した。ユーロドルは、米相互関税の即時発動が見送られ、貿易摩擦を巡る過度な懸念が後退したことで、1.0467ドルまで上昇した。ユーロ円は159.02円まで下落後、ユーロドルの上昇につれた買いで159円台後半まで下げ渋った。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米政権が打ち出した「相互関税」が即時発動されなかったことで、200日移動平均線152.73円付近での上値が重い展開が予想される。

 ドル円は154.80円まで上昇し、年初来の高値158.87円(1/10)から安値150.93円(2/7)までの下落幅の半値戻しである日足一目均衡表・基準線154.90円に迫っていた。しかし、昨日は、トランプ米政権の「相互関税」が即時発動されなかったことで、200日移動平均線付近まで反落している。

 トランプ米大統領は昨日、米国の輸入品に関税を課している全ての国に対する「相互関税」を課すと発表した。しかしホワイトハウス当局者は、相互関税は各国の関税措置や貿易関係を精査した上で、数週間以内に発動される可能性があると述べている。4月1日を目安とする精査次第では、適用除外の可能性が残されているため、ドルの失速要因となった。

 「半値戻しは全値戻し」の相場格言を念頭に、ドル円の売り買い要因を整理しておきたい。
 ドル買い要因は以下の通りとなる。
・トランプ関税25%(鉄鋼&アルミニウム)の大統領令署名
・相互関税(※4/1の調査期限まで即時発動が回避されたことでドル買い圧力後退)
・米1月失業率が4.0%に低下、1月CPIやPPIが上昇。
・パウエルFRB議長が議会証言で「利下げを急ぐ必要はない」と改めて表明した。
 さらに、「関税を含めたトランプ大統領の政策案が、景気見通しに一定の不確実性をもたらしている」とも述べ、インフレ抑制のための利上げの可能性を示唆した。
・「フェドウオッチ」での、追加利下げの時期は9月FOMCまで先送りされている。

 ドル売り要因は以下の通りとなる。
・田村日銀審議委員発言「2025年度後半には、少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価上振れリスクを抑え、物価目標達成のうえで必要」
・新発10年物国債の利回りが1.37%まで上昇。
・氷見野日銀副総裁が注視していた1月の輸入物価指数が前年比+2.3%へ上昇していた。
・日米首脳会談の後、トランプ米大統領が「対日貿易赤字を解消したい」意向を示した。
・日米首脳会談の前、ベッセント米財務長官が「他国が自国通貨を弱くすることは望まない。多くの国が対米貿易黒字を抱えるなか、金利抑制による通貨安がその一因となっている可能性がある」と述べていた。



(山下)
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