東京為替見通し=ドル円、日米要因で上値重いムード継続か

 5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。低調な米雇用指標をきっかけに全般ドル売りが優勢になると、148.40円まで下落。ただ、2月米ISM非製造業景況指数が予想を上回ったほか、貿易摩擦の緩和期待を背景に米株高・米長期金利上昇となると149.14円付近まで値を戻す場面があった。ユーロドルは、ドイツの拡張的な財政政策が投資や経済を支えるとの見方から、独長期金利の大幅上昇とともに1.0797ドルまで上昇して昨年11月8日以来の高値を付けた。ユーロ円は欧米株価の上昇もあり、160.73円と2月13日以来の高値を付けた。

 本日の東京市場では、米国の景気後退懸念や日銀の追加利上げ観測が漂う中、ドル円は上値の重い展開が続く可能性がある。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」を見ると、現時点では年末時点で2-4回程度の利下げを織り込んでいる状況である。1カ月前は年末時点で1-3回程度の織り込み度合いであったことを踏まえると、米景気後退懸念が根強いことをうかがわせる。東京市場でも引き続き、時間外の米10年債利回りの動きに注意したい。

 また、本邦要因として、新発10年債利回りの動きも気になるところである。昨日の内田日銀副総裁の発言により日銀の利上げ継続が意識されたことから、同利回りは先月21日以来となる1.450%まで上昇する場面が見られた。金利が一段と上昇するようならば円買い圧力が強まる展開もあり得る。

 テクニカル面でも、昨日は21日移動平均線の傾きが下向きとなる中で5日線を明確に割り込んだことで、下値が意識されやすい状況である。昨日安値を割り込むと、4日安値148.10円そして148円の大台割れを試す機運が高まりやすいと見る。21日線の傾きを考慮すると、仮に値を戻しても日足・一目均衡表の転換線149.70円や、前日高値150.18円が抵抗として意識されやすいだろう。

 なお、本日の東京市場で予定されている主な経済イベントは、前週分の対外対内証券売買契約等の状況くらいと少なめ。明日に2月米雇用統計を控えていることもあり、手掛かり材料難のなかで株価や日米の長期金利に様子見ムードが漂うようだと、ドル円は動きづらい展開となることも考えられる。

(川畑)
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