ロンドン為替見通し=ゲームチェンジャーでユーロは買い場探し

 ユーロドルは、先週月曜日につけた1.0370ドル台から1週間で500Pips超上昇していることで、若干スピードや上げ幅の調整が入りやすいだろう。テクニカル的にも、すでに先週時点で相対力指数(RSI)は70%を超え、ボリンジャーバンドも2σ上限を上回っている。

 ただ、ドイツを中心とした5000億ユーロの財政改革は、市場筋の中では「ゲームチェンジャー」と呼ばれるなど重要な転換点とされていることで、ユーロ買いの大きなトレンドを変えるのは非常に難しい状況だ。ユーロは売りの調整が入っても耐えられるようなポジションでの取引が必要になりそうだ。

 先週末の欧州中央銀行(ECB)理事会では、市場予想通りだったとはいえ政策金利を引き下げた。しかし、その後のラガルドECB総裁会見を含め、市場の反応は極めて限定的だった。欧州の金融政策を市場が決して軽視しているわけではないが、それよりも財政規律に厳しかったドイツの動きは前例がなく、時代の大きな転換点ということで金融政策以上に財政転換が注目を浴びている。本日もドイツから鉱工業生産や貿易収支などが発表されるが、財政改革前後でドイツ経済の動向も変わる可能性もあり、当面の間欧州の経済指標への市場の反応は薄くなりそうだ。

 経済指標以外ではナーゲル独連銀総裁がベルリンで講演を行うが、トピックが「ドイツの経済成長」についてとなっている。財政改革の影響が、ドイツ経済にどのように変化を与えるか、連銀総裁の見通しには注目が集まりそうだ。

 なお、9日から米国は夏時間に移行したことで、米国からの経済指標の発表が日本時間では1時間前倒しにされるほか、トランプ米大統領の発言が通常よりも早めに伝わってくることになる。今週にトランプ米大統領は鉄鋼とアルミニウムについての関税について発表する予定になっていることで、トランプ政権の動向次第がユーロ相場にも大きく影響を及ぼすことになるだろう。


・想定レンジ上限
 ユーロドル:先週末の高値1.0889ドルや節目の1.0900ドルを超えた場合は、昨年11月6日高値1.0937ドル。

・想定レンジ下限
 ユーロドル:先週末7日のNY時間の下押し水準1.0826ドル。その下は6日安値1.0766ドル。


(松井)
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