ニューヨーク外国為替市場概況・23日 ドル円、続伸

 23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は143.45円と前営業日NY終値(141.57円)と比べて1円88銭程度のドル高水準だった。前日のトランプ米大統領の発言をきっかけに米連邦準備理事会(FRB)の独立性を巡る懸念が後退したほか、米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が「米政府は貿易戦争の緩和に向けて対中関税の引き下げを検討」「対中関税は50-65%に引き下げられる可能性」と報じると、米中貿易摩擦が緩和されるとの期待が高まった。米国株相場の上昇とともに全般ドル買いが先行した。3月米新築住宅販売件数が72.4万件と予想の68.5万件を上回ったことも相場の支援材料。
 ベッセント米財務長官が「米国は引き続き強いドル政策を維持」と述べたほか、「関税を巡る日米交渉で特定の通貨目標を求める考えはない」「日本が先進7カ国(G7)の合意を尊重することを期待」と発言すると円売り・ドル買いが活発化。アジア時間に付けた143.22円を上抜けて一時143.57円まで上値を伸ばした。市場では「日米財務相会談での円安是正議論への警戒感があっただけに、ベッセント氏の発言で警戒感が和らいだ」との声が聞かれた。

 ユーロドルは続落。終値は1.1316ドルと前営業日NY終値(1.1421ドル)と比べて0.0105ドル程度のユーロ安水準となった。欧州市場序盤に一時1.1440ドルと日通し高値を付ける場面もあったが、NY市場に入ると上値が重くなった。米中貿易摩擦が緩和されるとの期待から全般ドル買いが優勢になると、5時30分前に一時1.1311ドル付近まで下落し、アジア時間に付けた日通し安値1.1308ドルに近づいた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時99.94まで上昇した。
 なお、FRBはこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)で「米経済活動は前回報告からほとんど変化がなかったが、国際貿易政策を巡る不確実性には全体に広がりが見られた」と総括。また、全ての地区で物価は上昇し、6地区で「控えめ」、6地区で「緩やか」と報告した。

 ユーロ円は反発。終値は162.35円と前営業日NY終値(161.71円)と比べて64銭程度のユーロ高水準。日本時間夕刻に一時161.19円と日通し安値を付けたものの、欧米市場に入ると買い戻しが優勢となった。株価の上昇に伴う円売り・ユーロ買いが出たほか、ドル円の上昇につれた買いが入った。5時前に一時162.46円とアジア時間に付けた日通し高値に面合わせした。

本日の参考レンジ
ドル円:141.49円 - 143.57円
ユーロドル:1.1308ドル - 1.1440ドル
ユーロ円:161.19円 - 162.46円

(中村)
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