株式明日の戦略―下振れ懸念を和らげる大幅上昇、日本株の買い安心感は高まるか

 30日の日経平均は大幅反発。終値は316円高の28195円。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1542/値下がり243。原油価格が上昇基調を強めてきたことから、INPEXが4%を超える上昇。コスモエネルギーやENEOSなど石油卸や、三井物産、三菱商事など商社株にも強い買いが入った。証券会社のリポートや新聞記事などを手がかりにエネルギー関連が賑わっており、東電、三菱重工、川崎重工などが原発関連、岩谷産業、宮入バルブ、木村化工機などが水素関連として物色された。自己株取得がポジティブサプライズとなったNECが6%近い上昇。青山商事やAOKIなど紳士服関連の動きの良さが目立った。ほか、シダックスへのTOBが好感されたオイシックスが急伸した。

 一方、シダックスは低いTOB価格が嫌気されて大幅安。新株予約権を発行すると発表したダイヤHDが急落した。小売株を中心にきょうが権利落ちとなる銘柄には下落したものが多かった。金融教育を国家戦略に据えるというニュースで前日動意づいた銘柄にはきょうも強く買われるものも散見されたが、ブロードマインドは4桁の大台に乗せたところで天井感が出てきて急失速し、9%を超える下落で終えた。

 日経平均は大幅反発。316円高ではきのうの下げ(762円)の半分弱しか戻していないが、(1)米国株の反転を見る前に大きく上昇したこと、(2)寄り付きから大幅高となり、難なく28000円を超えてきたこと、(3)全業種が上昇したこと―などポジティブな動きが多く見られた。

 今週は週末に米8月雇用統計の発表が控えている。今の流れだと、雇用指標が強かった場合には米長期金利の上昇を促し、米国株の売り材料となる可能性が高い。しかし、その懸念がくすぶる中でも上げる時にきょうのような強い動きが見られれば、グローバルでも日本株の買い安心感が高まる。米金利の上昇に耐性があるバリュー株がしっかり買われている点も、全体の下振れ懸念を和らげる。

 きょうの大幅高が今晩の米国株高を先取りしているだけであれば、あすは値動きが不安定となるだろう。一方、あすもしっかりとした動きが続くようであれば、雇用統計発表前後で米国株が再度崩れたとしても、押し目では買いが入りやすくなる。きのうは大幅安となったが、週足チャートでは52週線(27862円、30日時点)に接したところで切り返している。同水準をサポートに戻りに勢いをつけることができるかが注目される。
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