株式明日の戦略-上昇スタートも5日続落、あすはハイテク株が相場のカギを握る

 24日の日経平均は5日続落。終値は139円安の28313円。米国株安を受けても上昇して始まったが、28500円より上が重く、ほどなく下げに転じた。10時台半ばに売り圧力が強まり、下げ幅を3桁に拡大。ただ、28200円台までで売りが一巡すると、そこからは動意が乏しくなった。後場は下値は固まってきたものの、下げ幅を2桁に縮めると売り直され、マイナス圏でこう着相場が続いた。中小型株が相対優位となっており、マザーズ指数がプラスで終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆2900億円。業種別では電気・ガス、鉱業、パルプ・紙などが上昇した一方、その他製品、空運、海運などが下落した。農業分野への参入を発表したフジタコーポレーション<3370.T>がストップ高。半面、証券会社が目標株価を引き下げたChatwork<4448.T>が大幅安となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1005/値下がり734と、日経平均は下落したが値上がり銘柄は多かった。東電HDが10%高。岸田首相が次世代原発の建設検討について言及したほか、原発再稼働に関するニュースもあって値を飛ばした。次世代原発は三菱重工、川崎重工、IHIなど重工系銘柄の刺激材料にもなっており、原発のメンテナンスを手掛ける東京エネシスなども動意づいた。科学事業の売却観測が報じられたオリンパスが大幅高。自己株取得を発表したオリコンやシンデンハイテックスが急伸した。

 一方、レーザーテックや東京エレクトロンなど半導体株が大幅安。任天堂、HOYA、キーエンスなど値がさ株が総じてさえない動きとなった。前日水際対策の見直しを材料に買われたJAL、ANA、エアトリ、オープンドアなど旅行関連が軟調。直近で騰勢を強めたアイスタイル、セイファート、日本色材などが急落した。

 日経平均は5日続落。米国株安を受けてもプラスで始まったが、買いは続かなかった。ただ、プライムでは上昇銘柄の方が多く、指数の下げに関してはそこまでネガティブに捉えなくても良さそうだ。きょうは東電HDに加えて重工系の銘柄が賑わったが、そのきっかけとなった次世代原発に関して具体的な話が進むようなら、エネルギー政策関連が大きなテーマとして浮上する可能性もある。東電にしても重工系銘柄にしても今年に大相場を演じており、再浮上してくるようなら物色の裾野が広がる。

 本日、米国ではエヌビディアの決算が発表予定。足元では米長期金利の上昇によりグロース株が買いづらくなっているだけに、ネガティブな材料が出てくるようだと、ハイテク株には厳しい局面が想定される。きょうレーザーテックなど半導体株が弱かったのも、警戒売りが先回りで入った可能性が高い。逆に安心感のある内容が確認できれば、全体の買い戻し機運を高める要素にもなり得る。米国株も足元の下げが利益確定の一環であれば、そろそろ押し目を拾う動きが出てきても良いタイミング。ハイテク株の動向があすの日本株を大きく左右することになるだろう。
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