ロンドン為替見通し=英国債券市場の動向とウクライナ情勢に要警戒か

 本日のロンドン為替市場のポンドドルは、14日に期限切れとなるイングランド銀行の緊急国債買い入れ措置を巡る英国債市場の動向を見極める展開となる。

 英国の年金基金の業界団体は昨日、買い入れ措置を少なくとも10月31日まで延長するように要請したものの、ベイリーBOE総裁は、この措置は金融安定化策の一環であり、金融政策手段ではないため、一時的なものでなければならないとしてはねつけた。年金基金は、今後少なくとも3200億ポンドに上るマージンコール(追加担保拠出)を満たす必要がある、と報じられている。
 一部報道では、イングランド銀行が債券買い入れ期限を延長する可能性が示されており、続報に要注目か。

 ポンドドルは、英国債市場への警戒感から下落トレンドを再開しつつあることで、日本時間15時に発表される8月の英国内総生産、鉱工業生産、製造業生産高などのネガティブサプライズに警戒しておきたい。
 ポンドドルのリスクシナリオは、来週以降に9月末のようなトリプル安が再開する可能性、そして下院での予算案採決造反によりクワーテング英財務相が更迭される可能性となる。

 昨日開催されたG7首脳とゼレンスキー・ウクライナ大統領のオンライン緊急会合では、G7首脳は必要な限りウクライナへの支援を続けると表明し、ロシアによる核兵器の使用は重大な結果を招くと牽制した。ゼレンスキー・ウクライナ大統領は、ロシア軍の攻撃を阻止するための防空能力を強化するように訴えた、と報じられている。リャブコフ露外務次官は、米国などの西側諸国に無秩序な激化の危険性を認識するように警告している。
 ウクライナ情勢でのリスクシナリオは、プーチン露大統領が戦術核兵器の使用に踏み切る可能性となる。ロシアのメドベージェフ前大統領は、かつて、クリミア半島やクリミア橋に対してウクライナ側からの攻撃があった場合、「終末の日が訪れる」と述べ、強烈な反撃があると警告していた。

想定レンジ上限
・ユーロドル: 0.9836ドル(一目・転換線)
・ユーロ円:142.44円(一目・転換線)
・ポンドドル:1.1180ドル(10月11日の高値)
・ポンド円: 161.57円(10月10日の高値)

想定レンジ下限
・ユーロドル: 0.9636ドル(9月29日の安値)
・ユーロ円:140.90円(10月10日の安値)
・ポンドドル:1.0763ドル(9月29日の安値)
・ポンド円:158.30円(一目・基準線)



(山下)
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