NY為替見通し=リスク回避懸念(ウクライナ、イタリア、英国)のNYダウに要警戒か

 本日のNY為替市場のドル円は、ウクライナ情勢の緊迫化、イタリアでの新政権誕生、英国のトリプル安を受けて下落基調にあるニューヨーク株式市場の動向と欧米英の中銀高官の発言に注目する展開が予想される。

 9月のニューヨーク株式市場は、最もパフォーマンスが悪い月として警戒されていたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)でFF金利誘導目標が0.75%引き上げられ、ドット・プロット(金利予測分布図)で年末の予想中央値が4.4%と示唆され、パウエルFRB議長が高金利政策の長期化を再表明したことで、NYダウは年初来安値を更新している。

 さらに、プーチン露大統領が部分動員令を発令し、ウクライナの占領地域での住民投票を実施して、戦術核の使用を警告したこと、イタリアで欧州連合(EU)に否定的な極右政権が誕生し、トラス英政権の大規模減税策により、英国市場がトリプル安となっていることで、市場でのリスク回避機運が高まっている。
 また、欧州の電力会社がヘッジ取引に伴う追加証拠金を少なくとも1兆5000億ユーロも差し入れる必要があり、公的支援の拡充が必要となっていることも、リスク回避要因となっている。

 ドルは、リスク回避の有事の買いの様相を呈しており、ポンドドルは史上最安値を更新し、ユーロドルは0.95ドル台まで下落し、ドル円は144円台まで反発している。
 ドル円のテクニカル分析では、トリプル・トップ(144.99円・144.96円・145.90円)を形成しつつある。145円台で本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入が再び行われて、「神田シーリング」が設定されるのか、本日の注目ポイントになる。

 本日は、ラガルドECB総裁、コリンズ米ボストン連銀総裁、センテノ・ポルトガル中銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁、テンレイロ英中銀MPC委員、ローガン米ダラス連銀総裁らの発言が予定されており、市場のリスク警戒に対する金融政策正常化の見解に注目することになる。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値の目処(めど)は、9月22日の高値の145.90円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値の目処(めど)は、一目・転換線の143.13円。


(山下)
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