ロンドン為替見通し=ポンド、中期財政計画を受けた英債市場の動向次第か

 本日のロンドン為替市場でポンドは、ハント英財務相が発表する中期財政計画(Autumn Statement)を受けた英国債券市場の動向が注目される。発表時間は未定ではあるが、通常であれば現地時間の昼頃(日本時間21時頃)となるもよう。それまでは株式市場や時間外の米長期債利回りを眺めながら、やや方向感を探る展開が続きそうだ。

 トラス前政権が大規模減税を打ち出して市場を混乱に陥れた9月ほどではないが、ポンドドルと英長期債価格の相関関係は高いままだ(利回りとは逆相関)。昨日も足もとのインフレ率が想定以上に上昇していたにもかかわらず、英10年債価格は上昇し、利回りは約2カ月ぶりの低水準3.149%で終えた。一方、ポンドドルは終値水準としては約3カ月ぶりの高値圏1.19ドル前半で引けている。

 スナク首相が財政規律を順守する姿勢を見せているため、本日のハント財務相の計画発表への期待が高まっているもよう。先月末には、財政に余裕を持たせるため、予算不足を埋め合わせる以上の支出削減と増税が打ち出される可能性が報じられた。

 しかしながら景気後退が確実視されるなかで、既に確定済みの来年春からの法人税引き上げは特に中小企業にとっては大きな打撃となるだろう。また政府最大の支出とされる公務員給与の上昇率も、インフレ率よりかなり低い2%程度に制限されることもあり得るという。規律の順守ばかりを重要視してしまうと、債券市場は好感したとしても政権の支持率低下にも繋がりかねない。スナク首相、ハント財務相の手綱さばきが注目される。

 他、19時には改定値だが10月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)が発表予定。21時30分にはピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミストの講演も予定されている。

想定レンジ上限
・ポンドドルは15日高値1.2028ドル、ユーロドルも15日高値1.0479ドル。

想定レンジ下限
・ポンドドルは15日安値1.1741ドル、ユーロドルが14日安値1.0272ドル。



(小針)
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