週間為替展望(豪ドル/ZAR)-ランド、ANCの党首選挙に注目
◆豪ドル、豪雇用統計に注目
◆豪ドル、ZARともに、米金融政策に乱高下する可能性も
◆ZAR、ラマポーザ大統領が党首選挙に出馬予定、方向感つかみにくい
予想レンジ
豪ドル円 90.00-95.00円
南ア・ランド円 7.50-8.10円
12月12日週の展望
豪ドルは下値が支えられそうだが、乱高下になる可能性が高い。今週、豪準備銀行(RBA)理事会は、市場予想通りに政策金利を3.10%に引き上げた。声明文では「あらかじめ方向性は決まっていない」としながらも、「今後一定期間、さらに利上げを行うことを想定」と記した。一部では利上げの最終地点となるターミナルレートが今月の3.10%という予想もあったが、この可能性は低くなり、RBAの利上げ継続期待は豪ドルの支えとなるだろう。
しかし、来週は国内外で多くのイベントが予定されており、豪ドルの動きを不安定にさせそうだ。豪州国内では、15日に予定されている11月雇用統計が最大の注目。RBAの声明文でも「将来の利上げの規模とタイミングは、今後のデータとインフレ、労働市場の見通しによって決定」としているように、労働市場の動きが来年以後の金融政策に大きな影響を与える。10月の雇用統計は失業率、新規雇用者数ともに好結果だった。ただ、「求人数が徐々に減少傾向で、雇用の伸びが期待できない」という声も高まっている。仮に2023年度も利上げを行った場合でも3.35%がターミナルレートになる可能性もあるとの予想もある。雇用統計次第では豪金利が動意づき、豪ドルも連れた動きになりそうだ。
国外情勢では13-14日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、この結果発表後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見が市場動向を左右する。豪ドルはリスクセンチメントに敏感なことで、パウエル議長の会見で大きく動きそうだ。なお、隣国のNZからは、14日に政府から半期に一度の経済財政報告が公表され、15日に7-9月期国内総生産(GDP)が発表される。
南アフリカ・ランド(ZAR)上値が重いか。16日から20日に行われるアフリカ民族会議(ANC)の党首選挙でラマポーザ大統領が再選されるのかが最大の注目。ANC内での離反が相次ぎ辞任に追い込まれた場合、ZARは弱含むだろう。判断が難しいのは再選された場合だ。これまでの改革路線継続や、海外投資家からの信頼も厚いことはポジティブだが、その反面、ズマ前大統領と同じように違法行為の可能性が高い大統領が居座った場合の国際的信頼度が低下する可能性もある。また、ANCの支持率が大きく下がっていることもあり、再選が政治的混乱や国民のデモ、暴動などのリスクを高めることも想定される。なお、経済指標では、14日に11月消費者物価指数(CPI)と10月小売売上高、15日に卸売物価指数(PPI)が発表される。
12月5日週の回顧
豪ドルは小動き。RBAが追加利上げの可能性を示唆したことが支えになったが、一方的な動きにはならず、翌週のFOMCを控え様子見となった。年末相場で積極的な売買が控えられた。ZARは買い戻しが優勢。先週はラマポーザ大統領辞任の可能性が高まったことで大幅安だったが、ANCの過半数が弾劾に反対したほか、大統領が党首選の再出馬を決定したことを受けて買い戻された。ランド円は一時8円台まで戻す場面もあった。(了)
(小針)
◆豪ドル、ZARともに、米金融政策に乱高下する可能性も
◆ZAR、ラマポーザ大統領が党首選挙に出馬予定、方向感つかみにくい
予想レンジ
豪ドル円 90.00-95.00円
南ア・ランド円 7.50-8.10円
12月12日週の展望
豪ドルは下値が支えられそうだが、乱高下になる可能性が高い。今週、豪準備銀行(RBA)理事会は、市場予想通りに政策金利を3.10%に引き上げた。声明文では「あらかじめ方向性は決まっていない」としながらも、「今後一定期間、さらに利上げを行うことを想定」と記した。一部では利上げの最終地点となるターミナルレートが今月の3.10%という予想もあったが、この可能性は低くなり、RBAの利上げ継続期待は豪ドルの支えとなるだろう。
しかし、来週は国内外で多くのイベントが予定されており、豪ドルの動きを不安定にさせそうだ。豪州国内では、15日に予定されている11月雇用統計が最大の注目。RBAの声明文でも「将来の利上げの規模とタイミングは、今後のデータとインフレ、労働市場の見通しによって決定」としているように、労働市場の動きが来年以後の金融政策に大きな影響を与える。10月の雇用統計は失業率、新規雇用者数ともに好結果だった。ただ、「求人数が徐々に減少傾向で、雇用の伸びが期待できない」という声も高まっている。仮に2023年度も利上げを行った場合でも3.35%がターミナルレートになる可能性もあるとの予想もある。雇用統計次第では豪金利が動意づき、豪ドルも連れた動きになりそうだ。
国外情勢では13-14日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、この結果発表後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見が市場動向を左右する。豪ドルはリスクセンチメントに敏感なことで、パウエル議長の会見で大きく動きそうだ。なお、隣国のNZからは、14日に政府から半期に一度の経済財政報告が公表され、15日に7-9月期国内総生産(GDP)が発表される。
南アフリカ・ランド(ZAR)上値が重いか。16日から20日に行われるアフリカ民族会議(ANC)の党首選挙でラマポーザ大統領が再選されるのかが最大の注目。ANC内での離反が相次ぎ辞任に追い込まれた場合、ZARは弱含むだろう。判断が難しいのは再選された場合だ。これまでの改革路線継続や、海外投資家からの信頼も厚いことはポジティブだが、その反面、ズマ前大統領と同じように違法行為の可能性が高い大統領が居座った場合の国際的信頼度が低下する可能性もある。また、ANCの支持率が大きく下がっていることもあり、再選が政治的混乱や国民のデモ、暴動などのリスクを高めることも想定される。なお、経済指標では、14日に11月消費者物価指数(CPI)と10月小売売上高、15日に卸売物価指数(PPI)が発表される。
12月5日週の回顧
豪ドルは小動き。RBAが追加利上げの可能性を示唆したことが支えになったが、一方的な動きにはならず、翌週のFOMCを控え様子見となった。年末相場で積極的な売買が控えられた。ZARは買い戻しが優勢。先週はラマポーザ大統領辞任の可能性が高まったことで大幅安だったが、ANCの過半数が弾劾に反対したほか、大統領が党首選の再出馬を決定したことを受けて買い戻された。ランド円は一時8円台まで戻す場面もあった。(了)
(小針)