週間為替展望(豪ドル/ZAR)- 豪ドル、方向感のない動きに

◆豪ドル、主だった経済指標の発表もなく方向感の動きに
◆豪ドル、米雇用統計や中国コロナ感染拡大に注目
◆ランド、ANC党大会の結果は支えとなるが、政治リスクは残る

予想レンジ
豪ドル円 85.00-93.00円
南ア・ランド円 7.50-8.10円

12月26日・1月2日週の展望
 豪ドルの年末年始は方向感のない動きが続きそうだ。通常毎月第1火曜日に開催される豪準備銀行(RBA)理事会が1月は開催されないため、1月11日に発表される11月の消費者物価指数(CPI)までは市場を動意づけるような指標の発表は予定されていない。月次ベースのCPIは今年後半から公表となったが、徐々に市場も反応し始めている。それまでは、国外の要因に左右されることになりそうだ。

 国外要因では、米国や中国の動向に注目が集まる。米国では、1月6日の雇用統計をはじめ複数の経済指標が発表される予定。今年は、米債券や米株の動きに、リスクに敏感な豪ドルは過敏に反応した。豪州のイベントが少ない中では、米国の動向が一番の動意づけとなるだろう。中国については、新型コロナウイルスに対する対策を、これまでのゼロコロナから大幅に変更したことから、市場では中国経済の回復が期待されていた。しかし、この数週間で対策を緩めた影響もあり、ウイルスの感染が急拡大。企業活動にも影響を及ぼし始めている。年末年始の流動性の低い中、米中の経済情勢には特に注意を払いたいところだ。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅い動きとなりそうだ。アフリカ民族会議(ANC)全国党大会では、党首にラマポーザ大統領が再選した。大統領にとって、獲得票が多かった以外にも今回の大会は意義のあるものだった。これまで大統領を含めANCの要職トップ6には大統領支持者がほぼいなかったが、今回のトップ7(要職が1つ追加されたことで6から7に増加)のうち5つの要職を大統領支持者が獲得した。また、新たな国家執行委員会 (NEC)のメンバー80人のうち57人が大統領支持者とされている。これまで、ANC内での地盤が弱かった大統領にとっては、要職を支持者で固めたことは、政治的不安定要素が払拭されてZARの支えになりそうだ。

 ただ、一方ではANCの支持率自体が大幅に低下していることは不安要素だ。2004年の国政選挙で69.68%の獲得票だったものが、2016年の地方選で53.91%まで落ち込んだ。2019年はラマポーザ大統領の登場で57.50%まで回復したが、昨年2021年の地方選では結党以来初めてとなる過半数割れの47.52%まで低下している。次回の国政選挙は2024年になるが、大統領自身のファラファラ疑惑も解決には至っていない。今後も政治リスクは残ることになる。

12月19日週の回顧
 豪ドルは対円では大幅安になった。20日に日銀が長期金利の許容変動幅を拡大し、実質利上げとなったことでドル円が7円弱下落した。豪ドル円も92円台から87.03円まで一時弱含んだ。対ドルでは金利上昇による株安から、リスクセンチメントに敏感な豪ドルの頭が抑えられた。ZARは対円では軟調、対ドルでは堅調。豪ドル円同様に、日銀の実質利上げの影響を受けて3月以来となる7.54円まで弱含んだ。しかし、ラマポーザ大統領が、ANC党首選挙で再選を果たしたことから買い戻しも入った。特に対ドルでは一時17ZAR手前までZAR買いが進んだ。(了)
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