株式明日の戦略-週間下落も週足では陽線、来週は13日が要注目の1日に

 6日の日経平均は続伸。終値は153円高の25973円。米国では強い雇用指標を嫌気して、ダウ平均が300ドルを超える下落。しかし、これを受けても寄り付きは80円程度の下落にとどまった。そこからすぐに切り返してプラス転換。前日終値近辺でしばらくもみ合った後、上げ幅を3桁に広げた。前場では節目の26000円を前に足踏みしたが、後場の開始直後には26000円を突破。ただ、そこでいったんの到達感が出てきたことから、以降は上値が重くなった。結局、終値では26000円を下回ったが、大きな失速もなく高値圏で取引を終了した。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆5000億円。業種別では海運、鉱業、非鉄金属などが上昇した一方、不動産、保険、電気・ガスなどが下落した。新作ゲーム「メメントモリ」の12月度課金高などの速報値を公表したバンク・オブ・イノベーション<4393.T>が急騰。反面、日証金が増し担保金徴収措置を実施すると発表したELEMENTS<5246.T>が、ストップ安まで売られる場面があるなど急落した。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり1054/値下がり696。川崎汽船など海運大手3社がそろって大幅高。日経新聞のインタビュー記事を材料に、東京エレクロトンが3%超上昇した。EVに関するニュースが相次いだソニーGが連日で強い上昇。太陽誘電、村田製作所、TDKなど主力ハイテク株に見直し買いが入った。「スシロー」の月次に改善傾向が見られたF&LCが急伸。3Q決算が好感されたダイセキ環境が値を飛ばした。

 一方、三菱UFJが軟調。日銀がイールドカーブコントロールの再修正を急いでいないと伝わったことで、引け間際に大きく崩れる場面があった。国内ユニクロ月次が好調であったファーストリテイリングは、上昇スタートも買いが続かず終盤にマイナス圏に沈んだ。米長期金利の上昇を嫌気して、三菱地所や住友不動産など不動産株が軒並み安。月次が失望を誘ったジンズHDが急落した。

 来週は決算発表が多く、個別のボラティリティが大きくなると思われる。今週はEV充電器関連や育児関連の銘柄が人気化したが、1日の値動きはかなり派手になった一方、特にEV充電器関連の方は賞味期限が短く、翌営業日に急落したものも多かった。株式市場の先行き不透明感が強まると、長く持ちたくないという理由と、デイトレーダーの存在感が大きくなるという要因から、1日の振れ幅が大きくなりやすい。しかし、急騰してもすぐに急落する銘柄が多くなると、長期の投資家は手を出しづらくなる。その意味では、決算で強く買われた銘柄の翌日以降の値動きを注視しておきたい。決算は3カ月間の企業の努力が詰まった通信表だ。これを材料に短期のマネーゲームが盛り上がるだけでなく、中長期を見据えて継続した買いが入る銘柄が増えてくれば、そのことが日本株の下値不安を和らげる材料になるだろう。


【来週の見通し】
 神経質な展開か。月曜9日が成人の日により休場で立ち合いは4日。木曜12日に発表される米12月消費者物価指数(CPI)が注目を集める。足元では世界的な金融引き締めへの警戒が改めて強まりつつあり、先月の日銀の金融政策修正がその流れに拍車をかけた。ただ、先月発表された米11月CPIは市場予想を下回るなど、米国の物価指標に関してはピークアウトの兆候も見られる。米CPIがそこまで強い内容とならなければ、米長期金利の低下を促して一気にリスク選好ムードが高まる展開も期待できる。一方、強い内容となれば、その逆の展開が想定される。同指標を消化する金曜13日の値動きが、週の方向性にも大きな影響を及ぼすことになるだろう。なお、国内では決算発表が多く、安川電機やファーストリテイリングなど注目度の高いところも出てくる。個別の物色が活況になると思われる点は、一定程度日本株を下支えすると考える。
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