ロンドン為替見通し=リクスバンク主催計4回の討論会を実施、欧州午前は1回目が注目

 昨日の欧州時間にこれまで抑えられていた1.07ドル台前半を上抜け、昨年6月以来となる水準までユーロドルは強含んだ。欧州時間昼過ぎに1.07ドル台に乗せた以後は、1.07ドルを割り込むことをできていないことを考慮すると、下落局面では買い遅れの市場参加者も多くいそうなことで、本日の下値は限定的か。

 本日の欧州時間は、欧州午前と午後で大きく流れが変わる可能性があることに注意したい。仏鉱工業生産など経済指標も発表されるが、市場の注目はスウェーデン中銀(リクスバンク)主催の国際シンポジウム。多くの中銀関係者が参加するが、計4回のパネル(討論会)が行われる。

 第1回目のパネルの議題は「中銀の独立性と新たなリスク(気候)」。このパネルにはベイリー英中銀(BOE)総裁、黒田日銀総裁、マックレム・カナダ中銀総裁、シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事などが参加予定。
 第2回目のパネルは「中銀の独立性と決済と中銀のデジタル通貨」
 第3回目のパネルは「中銀の独立性と使命(mandate)」。ここでは、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ブーフ独連銀副総裁、が参加する予定。
 そして第4回のパネルは「中銀の独立性とグローバル化した世界での政策協調」。クノット・オランダ中銀総裁、デコス・スペイン中銀総裁が参加する予定。
(ほかに著名エコノミストや教授なども参加予定だが、記載は割愛)

 この中で欧州午前に予定されている第1回目のパネルがまずは要注目。特に欧州通貨を動意づける可能性がある、ベイリーBOE総裁とシュナーベルECB専務理事の発言は注目される。BOEからは今週に入り、ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミストが「インフレが持続している兆候はない」と発言した一方で、マン英MPC委員は週末に「エネルギーの価格上限が他の商品やサービスへの出費を促すことで、更なるインフレ圧力の要因になる可能性もある」と指摘している。ベイリーBOE総裁がどちらの見解に近い意見を述べるかが注目。シュナーベルECB専務理事は昨年11月後半に、「データは利上げ減速余地が限定的であることを示唆」と述べているが、12月の独仏のCPIが市場予想を下回る結果になったことで、これまでと同じ見解を示すかが注目される。

 なお、市場の最大の注目は第3回目のパネルだが、欧州時間午後の予定で、NY勢が参入後となることもあり、第1回目のパネルの流れが急転する可能性もあることには注意したい。


・想定レンジ上限
 ユーロドルは、昨年5月30日高値1.0787ドル。その上は同4月22日高値1.0852ドル。
 ポンドドルは、昨年12月19日高値1.2242ドル。その上は同月14日高値1.2446ドル。

・想定レンジ下限
 ユーロドルは、昨日上昇後に割り込んでいない1.0700ドル。その下は昨日安値1.0634ドル。
 ポンドドルは、昨日安値1.2083ドル、その下は日足一目均衡表・転換線1.2026ドル。

(松井)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。