東京為替見通し=ドル円もECBの金融政策決定に注目

 昨日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは5営業日ぶりに反落。スイス金融大手クレディ・スイス・グループを巡り、「筆頭株主のサウジ・ナショナル・バンクは追加投資をする意向がない」と報じられると、欧州でも銀行の経営不安が広がったことから、投資家がリスク回避姿勢を強めユーロ売り・ドル買いが優勢となり、一時1.0516ドルと1月6日以来の安値を更新した。リスクオフの円買いが優勢となるなか、2月米小売売上高や2月米卸売物価指数(PPI)が軒並み予想を下回ったことがドルの重しとなり、ドル円は一時132.22円と約1カ月ぶりの安値を付けた。また、ユーロ円は一時139.48円と約2カ月ぶりの安値を更新した。

 米銀行2行の経営破綻を背景としたリスクオフの動きがいったん落ち着きを取り戻していたが、スイスの大手銀行クレディ・スイスに経営破綻の懸念が高まり、金融リスクへの不安が再燃し、市場は再び混乱に陥っている。ドル円は昨日も米銀行2行の経営破綻が伝わった今週の月曜日(13日)同様に135円台で上値が抑えられ、一時132円前半に急落した。この水準では再び買いに支えられ、133円後半まで買い戻しが入るも、上値の重い地合いは変わっていない。132円大台を割り込めば、130円大台割れを試す動きが意識されそうだが、市場のリスクオフの動きが一段と加速すれば、「リスクオフの円買い」より「リスクオフのドル買い」が活発になる可能性があり、ドル円は神経質な動きが続きそうだ。

 金融リスクへの懸念が台頭し、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)での政策決定について、金利見通しは目まぐるしく変化している。いったんは0.25%利上げを織り込むようになっていたが、クレディ・スイスの経営不安で据え置きと0.25%利上げ予想がほぼ半々となった。まずは政策決定前夜の市場混乱で難しい判断を迫られている欧州中央銀行(ECB)の今晩の会合に注目。これまで0.50%の利上げがメインシナリオとなっていたが、米金融セクターの波乱が欧州にも波及することへの懸念が高まり、市場では0.25%の利上げ思惑が高まり、一部では据え置きの見方も出ている。クレディ・スイスをめぐる市場の混乱がECBにこれまで公言してきた利上げ路線を逸脱させるほどの懸念なのかどうかを市場は注目しており、ECBの決定は為替相場でユーロだけではなく、金融不安の強弱に対するECBの判断と受け止められ、ドルや円相場にも影響を与えそうだ。

(金)
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