NY為替見通し=米CPIに注目、年後半の利下げ予想変わらないか冷静な見極めも

 本日のNY時間は、NY午前に発表される3月の米消費者物価指数(CPI)が最大の注目。市場予想は前年比では+5.2%と予想され、2月(+6.0%)よりも低下するとされている。一方でエネルギーと食品を除くコア指数は、前年比では前月(+5.5%)より小幅上昇の+5.6%予想となっている。

 先月は、シリコンバレーバンクが破綻したことや、クレディ・スイスが救済合併されるなど、金融危機が始まってはいる。しかし、金融危機がCPIなどの3月の経済指標に影響を及ぼすのは限定的との声もある。イエレン米財務長官とともに、米銀ファースト・リパブリック・バンクの救済に中心的に動いたJPモルガンチェースのダイモン最高経営責任者(CEO)は「金融危機で市場に多くの動揺が引き起こされ、銀行やその他の貸し手が一段と保守的になるにつれ金融条件が引き締まるのは明らか」と発言しているが、金融機関の保守的な動きによる経済への影響は年後半になる可能性が高い。よって、CPIの結果が仮に市場予想よりも強い結果となった場合でも、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ予想が高まるだけで、年後半の金融政策の動きにどの程度変化が生じるかを冷静に見極める必要がありそうだ。

 なお、本日時点のCMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、5月2-3日FOMCでの0.25%の追加利上げ確率は約69%。一方で、12月12-13日のFOMCでは4.25-50%へ引き下げが34%弱、4.50-75%へ引き下げが29%弱となり、過半数が年末までに現行水準より利下げ予想となっている。
 
 また、NY午後には3月21-22日分のFOMC議事要旨が公表されることで、サプライズとなる詳細が公表された場合には、市場が動意づく可能性もあることで注意を怠らないようにしておきたい。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目途は、日足一目均衡表・雲の上限134.49円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目途は、日足一目均衡表・雲の下限132.57円。


(松井)
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