株式明日の戦略-29000円を割り込むも大崩れは回避、決算期待が相場の下支えに

 8日の日経平均は5日ぶり反落。終値は208円安の28949円。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1126/値下がり637。日経平均は200円超下落したが、ファストリのマイナス寄与が大きく、値上がり銘柄は多かった。1Q決算が好感されたJTが年初来高値を更新。JALが決算で買われて、既に決算を発表済みのANAも連れ高した。日本郵船など先週弱かった海運株が軒並み高。個別にソシオネクストやメルカリの動きの良さが目立った。前期の業績および期末配当の見通しを引き上げたクリエイトが人気化し、ストップ高まで買い進まれた。

 一方、レーザーテック、ソニーG、ソフトバンクGなど、主力グロース株の多くが軟調。米国の化粧品大手が決算で急落したことを受けて、同業の資生堂やコーセーが警戒売りに押された。東京市場が休場の間に米地銀の経営不安が高まったことから、西日本FGやめぶきFGなど地銀株が軒並み安。NY原油も弱含む場面があり、INPEXが大きめの下落となった。業績関連では今期の大幅減益計画を提示したスズデンや、中期経営計画の数値目標を引き下げたアルインコが大幅安となった。

 連休明けの日経平均は3桁の下落。ただ、安値は12時54分につけた28931円までで、29000円を割り込みながらも、そこから大きくは崩れなかった。国内では今週も決算発表が多くある。きょう比較的値を保った銘柄が多かったのは、個別の決算を確認する前にマクロ要因で慌てて売りたくないと考えていた投資家が多かったものと推測される。チャートを見ると、大崩れを回避したことで5日線(28909円、8日時点)上をキープしている。上昇トレンドは継続中と言えるだけに、あすは反発に期待したいところだ。

 ただ、米国では日本が連休の間にまた派手に動く地銀株が出てきた。5日に81.7%高と急騰したパックウエスト・バンコープは、3ドル台であった株価が5ドル台に乗せただけで、これで安心というほどの上昇ではない。ファースト・リパブリック・バンクの破たんも今のところ米株市場のクラッシュにはつながっていないが、こうも次から次へと不安が高まる金融機関が出てくると、実体経済への影響が懸念される。米国株が不安定になれば日本株もその余波は受けるだけに、ここから先はこまめに利益を確定していくことも必要と考える。

(小針)
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