株式明日の戦略-日本株の強さが際立つ、あすはトヨタの決算反応に注目

 9日の日経平均は大幅反発。終値は292円高の29242円。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1497/値下がり288。決算が好感されたJFEHDが、全市場の売買代金ランキング3位の大商いとなって14.5%高。日本製鉄と神戸鋼がともに5%超上昇するなど鉄鋼株全般に買いが入った。今期の減益見通しよりも増配計画が好感された住友商事や伊藤忠が大幅高。商社株も三井物産や三菱商事が強く買われるなど、セクター全般で水準を切り上げた。バリュー株優位の様相が色濃く出る中、川崎汽船が9.3%高。米国でナスダックが年初来高値を更新したことから、アドバンテストやレーザーテックなどグロース株の一角も大幅高となった。

 一方、弱さが目立ったのがチタン株で、今期が57%営業減益計画となった東邦チタニウムが20%を超える下落。同業の大阪チタニウムも派手に下げた。きょう強かったセクターでもリリースをもとに選別はされており、鉄鋼では中山製鋼所、海運では飯野海運が減益・減配計画が嫌気されて急落した。決算が失望材料となった日本ビジネスシステムズが年初来安値を更新。業績を吟味した物色が盛り上がる中、アイスペース、リッジアイ、Fusicなど直近上場銘柄には大きく売られるものも散見された。

 日経平均は300円近い上昇となり、終値で年初来高値を更新した。米国動向からはそこまで強い動きは期待しづらかっただけに、日本固有の要因で買われたと考えるのが妥当。きょうはJFEHDの急騰が日本株を大きく刺激したように見える。業界大手かつ、バリュー株の代表格と言えるだけに、この銘柄が派手に上昇したことで鉄鋼株とバリュー株の売買が盛り上がった。また、決算銘柄に対するトレード妙味から、発表前の銘柄にも先回りの買いが入った。

 こうなると、あすはトヨタの決算を受けた反応が大きく注目される。きょう3%超上昇しておりハードルは上がっているが、中期のチャートでは安値圏で推移しており、内容次第ではまだ買われる余地はある。日本を代表するトヨタが跳ねるようなら、日本株に対する注目度が一段と高まり、新たな資金が入ってくる可能性がある。米CPIの発表前で手がけづらさはあるが、日経平均がノンストップで3万円に向けて騰勢を強めていけるかを占う意味でも要注目の1日となるだろう。


(小針)
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