東京為替見通し=円安一服も円買い要因少なくもみ合いか、本邦GDP・豪雇用統計に注目

 昨日の海外市場では、米消費者物価指数(CPI)の鈍化や米小売売上高の下振れを受けて、インフレ圧力や消費の落ち着きが意識されると、米利下げ観測が高まりドルが弱含んだ。ドル円は154.70円、ユーロドルは1.0886ドルまでドルが売られた。

 本日のドル円相場は、円売りの勢いが一服となったものの、積極的に円買いにもなりにくくもみ合いとなるか。一昨日の4月米卸売物価指数(PPI)が予想を上振れたのにもかかわらず、すぐにドル買いの勢いは失速した。そして、昨日の同月米CPIが予想を下振れるとドルが下げ幅を広げたように、先週の週初から始まったドル円の買いの勢いは息切れがしている。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月FOMCまでの利下げ予想が約73%まで上昇しているように、米国の利下げを予想する声は多い。期待インフレの結果や米連邦準備理事会(FRB)高官の発言を聞いている限りでは、市場は利下げに対してはまだ疑心暗鬼となってはいるものの、インフレ率の低下はドル円の頭を抑えることにはなるだろう。

 ただし、積極的に円買いに動くには材料に欠けていることで、ドル円の下値も支えられると予想される。ここ最近のさえない本邦の経済指標や、本日発表される1-3月期の本邦実質国内総生産(GDP)速報値もマイナスに転じるとの見込み。13日に日銀の国債買い入れオペ減額により本邦中長期金利が上昇していた。日銀が今後も長期国債の買い入れ削減を継続したとしても、GDPがマイナスに転じると予想されている国が、断続的に金利を引き上げられる状況ではないのは明白で、敢えて円を買う要素が少ない。よって、本日のドル円は米金利の低下でドルの上値も限られる反面、円を買える状況ではないことでレンジの中でもみ合いとなりそうだ。

 ドル円以外では本日、豪州の4月雇用統計に要注目。豪政府が14日に発表したインフレ見通しは、豪準備銀行(RBA)より早めのインフレ低下を予想した。昨日発表された1-3月期の豪賃金指数は市場予想を下回り、前期比も下方修正された。しかしながら、米金利の低下もあり豪ドルは対ドルで1月以来の水準まで上昇している。株価上昇により、リスク選好の動きに敏感な豪ドルは買いトレンドが強まってきた。本日の雇用統計も好結果となれば、ポジティブサプライズに大きく豪ドルは反応するか。


(松井)
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