NY為替見通し=PCE・ロンドンフィキシングに注目、円安進行時も介入は困難と予想

 本日のNY市場でのドル円は、円安トレンドが継続されそうだが、重要イベントを控えていることで急落・急騰のリスクがありそうだ。

 一番の注目イベントは、日本時間21時半に発表される5月の米個人消費支出(PCE)デフレーター。購入した商品やサービスに対する自己負担支出のみをカバーしているCPIと違い、直接支払われないその他の支出(雇用主が提供する保険、メディケアなど)もカバーするPCEの方を米連邦準備理事会(FRB)はより注目しているとも言われている。市場ではデフレーターと、食品にエネルギーを除いたコアデフレーターともに、前月より小幅に低下する予想になっている。結果が予想より上振れるか、下振れるかで素直に米金利が上下し、連れてドル買い・ドル売りに敏感に反応するだろう。

 どちらにも振幅しやすいが、ドル円に関しては市場予想を上振れた場合のドル買いの方が大きく動く可能性が高い。ドル円は1986年以来の水準までドル高が進んでいるが、下押しが限られていることで、ドル買い手当を遅れている市場参加者も依然として多くいる。また、本日は月末ということもあり、ロンドンフィキシングでの動きが警戒されるが、この数カ月はフィキシングにかけては円売りが優勢となっていることで、円安の方が動意づきやすい。

 一部では5月1日未明(日本時間では2日早朝)の米連邦公開市場委員会(FOMC)理事会後、市場流動性が薄い時間を狙って円買い・ドル売り介入を行ったことで、本日も同様に円が売られた場合は介入を期待する声がある。しかしながら、介入後のイエレン米財務長官の発言では、「こうした介入はまれであり、協議が行われると予想される(we would expect these interventions to be rare and consultation to take place)」と発言し、介入に対しての不快感を示した。そして、それ以後は本邦通貨当局者の介入が行われていない。また、仮にPCEデフレーターが強い結果となりドルが上昇した場合は、米国のインフレ抑制をさらに難しくするドル売りを本邦通貨当局者が行えば。米当局者から相当な非難を受けることになることもドル売り介入が難しい点だ。

 なお、欧州通貨は限られたレンジで取引されているが、週末にフランスの第1回総選挙が行われることで、週明けのユーロ相場は窓を開けて始まる可能性もありそうだ。

・想定レンジ上限
 ドル円は、これまでの本日高値161.27円から1986年12月25日高値161.45円。その上はレジスタンスを探すのが難しいが、1986年12月23日高値162.70円近辺か。

・想定レンジ下限
 ドル円は、昨日安値160.29円。その下は26日安値159.62円。


(松井)
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