週間為替展望(豪ドル/ZAR)- 豪ドル、CPIと輸入物価指数に注目

◆豪ドル、CPIが上振れればRBAの見解が再び変わる可能性も
◆各国が自国通貨安のインフレ高進を懸念する中、豪輸入物価指数に注目
◆ZAR、CPIは前月比小幅低下も11月の大幅利上げ予想は変わらず

予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00円
南ア・ランド円 7.90-8.30円

10月24日週の展望
 豪ドルは、神経質な動きになりそうだ。来週は26日に7-9月期の豪消費者物価指数(CPI)、27日には同期豪輸入物価指数が発表される。先月から豪州も月間のCPIを公表し始めているが、現時点では月間のデータが不足していることもあり、当面は四半期のCPIが最も注目が高くなる。4-6月期は前年比で6.1%の上昇となり、1‐3月期から小幅ながらインフレが抑制された。しかし、7-9月期は再び7.0%まで上昇する予想になっている。今週発表されたNZの同期CPIも前年比で7.2%の上昇となり、予想の6.6%を大幅に上振れている。オセアニア各国もインフレが再び高進、もしくは高止まりする可能性が指摘されている。
 
 インフレ指標が特に注目されるのは、前回の豪準備銀行(RBA)理事会で、RBAのスタンスがハト派寄りになったことだ。兼ねてからRBAは見解を頻繁に変更することが多々あったが、CPIが予想比を上振れるようなことになると、タカ派からハト派に傾いたものが、再びタカ派に戻る可能性もある。今週に入り、市場はNZのCPIの結果を受けて、NZドル買い・豪ドル売りに動いてきたが、結果次第ではこのポジションの巻き戻しの可能性も出てくる。

 また、CPI翌日の7-9月期輸入物価指数も、これまで以上に注目されている。今週に入りブロードベント英中銀(BOE)副総裁が「輸入価格の影響でCPIのほとんどがオーバーシュート」と発言。また、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁をはじめ、ECB要人も輸入物価高騰の悪影響を指摘している。輸入物価を押し上げる自国通貨安・ドル高を懸念していることで、結果次第ではRBAが豪ドルについて指摘する可能性に警戒したい。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は、もみ合いか。9月CPIは市場予想通りとなり、先月よりわずかながら低下した。しかし、CPI発表後も11月の南アフリカ準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)での大幅利上げ予想は変わっていない。本来ならば、金利の上昇は通貨高につながるが、景気低迷下の中でのインフレへの懸念の声が高まっている。一部では、南アがテクニカルリセッションに陥るとの予想もある。来週は南アからは生産者物価指数(PPI)以外は主だった経済指標の発表がなく、引き続き米金利やプラチナ価格・株価などに左右されることになりそうだ。

10月17日週の回顧
 豪ドルは対円では堅調に推移、対ドルでも小幅高。9月の豪雇用統計は、失業率は市場予想通りで、前月比から横ばいとなった。ただ、新規雇用者数の増加が弱かったことで豪ドル売りが進む場面もあった。その後は、中国のコロナ規制の緩和や、株式市場が比較的底堅い動きを見せたことでリスク選好の動きが豪ドルを支えた。なお、対円では為替介入の弊害で円売りが遅れていることも、豪ドル円を支えた。ZARはもみ合いだった。堅調な株式市場の動きや、南アが世界最大の産出量となるプラチナ価格の上昇がZARを支える要因になった。しかし、米金利が上昇過程にあることなどで新興国への資金流入が続かず、上値は抑えられている。(了)
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