株式明日の戦略―大幅安も後場は下げ渋る、来週は反発基調に入るか

 2日の日経平均は大幅反落。終値は448円安の27777円。米国株はまちまちで終えたものの、大幅安スタート。寄り付きから28000円を割り込み、前場ではその寄り付きを高値に下げ基調が続いた。為替が大きく円高に振れたことが嫌気されて自動車株など輸出関連が弱かったが、値上がり銘柄が極端に少なく、指数はなすすべなく下げ幅を拡大。500円超下げる場面もあった。後場は売り圧力が和らぎ、米雇用統計の発表を前に動意は限られた。引けにかけては若干下げ幅を縮めており、大幅安ではあったものの、大引けが後場の高値となった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆1700億円。業種別では全業種が下落しており、電気・ガス、食料品、パルプ・紙などが相対的に値を保った。一方、医薬品、不動産、卸売などが大幅安となった。1:4の株式分割や株主優待実施を発表したユニフォームネクスト<3566.T>に買いが殺到してストップ高比例配分。半面、株式分割を発表して以降、派手に買われていた新東<5380.T>が、一時ストップ安となるなど急落した。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり167/値下がり1637。レーザーテックやソフトバンクGがナスダック高を頼りに逆行高。ワールドカップの日本勝利を受けてサイバーエージェントが大幅高となり、ハブはストップ高まで買われる場面があった。資生堂、コーセー、花王など化粧品株が堅調。きのう初値をつけた後にストップ高となったウェルプレイド・ライゼストが、きょうも買いを集めてストップ高で終えた。

 一方、円高進行への警戒が強まる中、三菱自動車やマツダ、日産自など自動車株が大幅安。高島屋、松屋、H2Oリテイリングなど百貨店株が月次を材料に強めに売られた。エーザイ、小野薬、アステラスなど薬品株や、三菱不動産や三菱地所など不動産株は、セクター全体で弱い動きが見られた。子会社株が上場以降も買いを集める一方で、カヤックは材料出尽くしで2桁の下落率。業績関連のリリースが失望を誘ったピープルが急落した。

 日経平均は大幅安。前場で意外感のある下げとなりながら、後場は投げ売りが加速するわけでもなく下げ渋った。きょう大幅安となったのは円高が理由であると思われるが、この先も「円高=日本株安」になるかというと、それはまた違うかもしれない。内需では今年円安が進んだことで苦戦した企業もある。最近は円高メリット株として象徴的に動くことも多いニトリHD<9843.T>はプラスで終えた。円安局面が終了したのであれば、それを理由に買える銘柄も出てくる。為替に関しては、短期間で値幅が出るような状況は、株式市場には好ましくない。米雇用統計発表近辺ではボラティリティが大きくなるのは仕方ないが、これを通過した来週は、さらに円高が進むにしても、反動で円安に振れるにしても、値動きが落ち着くかどうかを注視しておく必要がある。


【来週の見通し】
 堅調か。翌週の12月13日~14日にFOMCが開催されるため、FOMCが近づくにつれて、様子見姿勢が強まることになると思われる。ただ、今週、パウエルFRB議長が早ければ12月のFOMCで利上げ幅を縮小する可能性があるといった旨の発言をしていることから、FOMCに対する警戒はさほど高まらないだろう。足元では為替の動きが荒くなっているが、円高(ドル安)は米国株には支援材料。米国株が大崩れする可能性が低いという点は、グローバル市場にとっては下支え要因となる。日本株にしても足元では過熱感のある銘柄がそれほど多いわけではない。今週の下げで値ごろ感も出てきており、ここからの下値は限られ、反発基調に入ると予想する。
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