株式明日の戦略-日経平均は終日小動き、中小型株は需給悪化を懸念

 5日の日経平均は小幅反発。終値は42円高の27820円。市場予想を上回る米11月雇用統計に対して米国株がまちまちで終えたことを受けて、強弱感が交錯した。小安く始まった後、27700円は割り込まずに開始早々に安値をつけた一方、プラス圏に浮上しても27800円より上は重かった。中小型の人気銘柄に派手に下げるものが多く、全体でも個別の物色意欲が失せてしまったような状態。序盤の売り買いをこなした後は前営業日近辺でのもみ合いに終始した。プライムでは値下がり銘柄が多かったが、売り崩すような動きも出てこなかったことから、プラスを確保して取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆6400億円。業種別では鉄鋼、鉱業、空運などが上昇している一方、海運、電気・ガス、水産・農林などが下落した。エーザイ<4523.T>が5%を超える上昇で5桁台を回復。半面、川崎汽船<9107.T>や商船三井<9104.T>など海運株が大きめの下げとなった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり616/値下がり1136。11月度のユニクロ月次を発表したファーストリテイリングが3%を超える上昇。日経平均のプラスに大きく貢献した。主力どころではファナックも強い上昇。レーザーテックやソフトバンクGなど、グロース株の一角に買いが入った。JFEHDや日本製鉄など鉄鋼株が強く、三井物産や丸紅など商社株が堅調。資生堂やコーセーなど化粧品株の動きも良かった。ほか、決算が好感された内田洋行が大幅高となった。

 一方、ANYCOLORが17.5%安と急落。市場ではロックアップ解除のタイミングで需給悪化懸念が高まったとの見方があった。バンクオブイノベーション、EDP、新東など、今年人気化したことのある銘柄の多くが急落。直近IPOで出足がかなり良かったウェルプレイド・ライゼストが一時ストップ安となっており、親会社のカヤックも派手に下げた。市場予想を上回る米雇用統計がドル高につながらなかったことから、三菱自動車や日産自など自動車株が軒並み安。上期計画未達のアインHDが急落した。

 日経平均やTOPIXは小動きとなった一方、中小型株は結構荒れた。多くの投資家の関心が本日深夜の日本対クロアチア戦であったとしても、人気どころの銘柄がこれだけ崩れれば、普通はリバウンドを期待した買いが入る。来週以降のIPOラッシュに備えた換金売りが早めに出たようにも見えるが、いずれにしてもきょうの人気銘柄の急落は印象が悪い。これらはあすは買われるかもしれないが、短期的には個別のポテンシャルやテクニカル要因は度外視して、マネーゲームの様相が一段と強まる可能性が高い。中小型はかなりのハイリスク・ハイリターン市場とみておいた方が良い。

 大型株の方は、中小型の人気どころが値を崩す中で落ち着いた動きとなった。流動性が高く、証券会社のカバレッジが多く入っているような銘柄に関しては、外部環境に大きな変化がなければ、いきなりはしごを外されるような下げとなる可能性は低い。IPOが相次ぐ月後半にかけては、大型株と中小型株では見える景色が全く違うといった展開も想定される。大型株の方は、ファンダメンタルズやテクニカルを度外視するのではなく、むしろこれらをしっかり吟味して、買える要素のあるものを丹念に拾っていく局面だろう。
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