株式明日の戦略-注目イベントを前に小動き、FOMCを波乱なく消化できるか

 26日の日経平均は小幅続落。終値は14円安の32668円。米国株の上昇を受けて小高く始まったが、すぐに下げに転じると、下に勢いがついて32500円を割り込んだ。ただ、これより下では下げ渋ったことから、売り一巡後は急速に値を戻した。そこからプラス圏に浮上した後は、前日終値を挟んで一進一退。後場は値幅が出ることを嫌うかのように、どちらかに傾くとそれを修正する動きが出てきた。14時以降はマイナス圏で推移する時間帯が長く、小幅な下落で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆7800億円と低水準。業種別ではパルプ・紙、電気・ガス、医薬品などが上昇しており、ゴム製品、その他製品、輸送用機器などが下落した。半導体検査装置を手がけるテセック<6337.T>が、1Qの大幅増益着地を受けてストップ高。半面、1Qが大幅な減益となったKOA<6999.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり775/値下がり945。レーザーテック、東京エレクトロン、ソシオネクスト、ディスコ、ルネサスなど半導体株が軒並み上昇。三菱製紙、日本製紙、中越パルプなど製紙株に強い動きが見られた。子会社とソフトバンクの業務提携が好感されたソースネクストが急騰。ビッグモーターの保険金不正請求が社会問題化する中、カーチスHDやアップルインターナショナルなど中古車販売関連に今後の需要増を期待した買いが入った。

 一方、半導体株の多くが上昇する中、決算発表を控えていたアドバンテストは下落。ドル円がやや円高に振れたことから、三菱自動車やマツダなど自動車株や、ブリヂストンや横浜ゴムなどタイヤ株が軟調となった。月次が失望を誘ったサイボウズが急落。通期の売上高見通しを下方修正した富士通ゼネラルが年初来安値を更新した。

 日経平均は小幅安。きのうが週後半のイベントを前に早くも身構えたような地合いとなったことから、きょうも米国株の上昇を好感できず、方向感に欠ける展開となった。あすはFOMCの結果やアドバンテストの決算を消化することになることから、振れ幅が大きくなると思われる。

 FOMCに関しては、利上げが実施されることに対する織り込みは進んでいる。市場ではこれで打ち止めになるとの期待が高いが、恐らくFRBはそういった期待を抱かせないよう、データ次第といったこれまで同様のアナウンスを出してくると思われる。焦点は米国の長期金利がどういった動きを見せるのかということ。米国株はダウ平均が25日まで12日続伸しており、下に反応した場合でも、それだけでリスクオフに傾く可能性は低い。ただ、長期金利が大きく上昇した場合には、インフレ長期化への警戒が再燃することから、売りの性質が利益確定ではなく手じまいとなる可能性がある。

 国内ではアドバンテストの動向が大きな注目を集める。引け後に出てきた1Q決算は、営業利益が前年同期比68%減の143億円と見栄えが悪い。寄った後に買われるかどうかはともかく、半導体株に対する過度な期待ははく落しそうだ。アドバンテストは225構成銘柄でもあるだけに、同社の値動きがあすの日経平均にも大きな影響を与える可能性がある。

 ただ、ここからは他にも企業決算が多く出てくる。仮に半導体株が買いづらくなったとしても、決算を手がかりに注目を集める銘柄は多く出てくると思われる。今週は金曜に日銀会合の結果を見極める必要があるが、中銀イベントを通過した後は、多少全体相場が不安定になったとしても、個別の物色が盛り上がると見込まれる。それだけに、FOMCを受けた米国の債券市場が落ち着いたものとなるかが大きく注目される。
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